腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫)
腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫) / 感想・レビュー
ジョニジョニ
「腰痛は〈怒り〉である」を読んで10年来の痛みが嘘のように消えた僕にとって、納得の結末でした。彼女のようにレントゲンやMRI、鍼や手かざし、果ては除霊までする苦労はなかったですけど。世の中に溢れる腰痛治療法に悪気はないんだろうけど、それじゃ治らない人が多いみたい。彼女も内科の医師に、なんの異常もない検査結果から「心因ではないか」と言われたのに、筋力不足だとか姿勢だとか、うつ伏せがいいとか血行が悪いとか、散々悩んで、結局は心の問題だった。心はどんな痛みでも作り出す。僕も今でも、気をつけてます。
2021/09/19
Pー
腰痛持ちにとってはリアルな痛みの表現ひとつひとつに、そうなんだよな・・・この痛みなんだよな~、なんて変に納得。その日の症状を記録する「痛み日記」から始まり、どんな薬も効果がない。骨は異常なく、年齢の標準よりきれい。原因不明の痛みに眠れない夜が重なる・・・病むことは孤独だと思う。さすが小説家、痛みのリアルな表現がズバリ当てはる。そして行きついたところ、それは「抑制された内なる魂の叫びだった」。三年間の地獄の責め苦は、指一本ふれられずに完治した。『心因性疼痛障害』(心身症)の実態を知る機会になった。
2015/03/15
シュラフ
事実は小説よりも奇なりで、衝撃の結末。夏樹静子は54歳にして腰痛となる・・・はじめのうちは時間がたてば治るのだろうとタカをくくるのだが・・・ますますひどくなってくる・・・はじめ医師の見立ては運動不足・・・水中歩行によって筋肉をつけるのだが治らない・・・思い余ってあっちこっちの医師・・・果ては霊の供養まで・・・絶望の中で出会った心療内科の医師から思いもよらぬ「心身性」の診断がくだる。最後の絶食療法がすさまじい・・・まるで悪魔祓いのような壮絶さである。3年間の地獄の責め苦の原因は夏樹静子の心の中にあった。
2014/10/13
びわこっこ
関西から東北へ移住して1年が過ぎたころ、突然、右腕が痛くて使えなくなった。PCも打てず、車の運転も危なかったので、整形外科へ行って、リウマチの薬などを処方されたが、3か月経っても改善せず、市民病院の頸椎の手術の専門医に診てもらうことになったが、原因が分からず、しまいには医者と喧嘩する羽目になった。Facebookで嘆いたら、森林セラピーを教わった、東京の心療科医が薦めてくれた本。身体が心について行かず、悲鳴をあげた状態だった。仙台で森林療法を実践して、痛みはケロッと治った。病は気からですね!
2022/12/30
MIHOLO
私も疼痛と闘い中。最近読んだ本の中でも疑問に思っている痛みは潜在的怒りや不安、心因性のものという括り。自分はそうじゃないという拒絶よりも、そうだとして、理解したよ、認めたよ、と思っても、すぐには痛みが引かない部分。潜在的な怒りや不安というのはそう簡単には拭えないんだろうか、それと共に、そんなに私は頑固なのか?頑固なんだろうな。でも気付いたんなら回復に向かうはずなんだと、この本を読んで光が射してきた感じ。自分だって似たような思考だったのに、夏樹さん早く心因性と認めて下さい!とお願いしたくなる内容だった。
2020/08/11
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