かくも水深き不在 (新潮文庫)
かくも水深き不在 (新潮文庫) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
切れ味の鋭いミステリの連作。一つ一つの短編に趣向が凝らされていて、プロットの巧さに唸る。さらに最後の短編で、大きなどんでん返しが待ち受けていて、あっと驚く。ホラー調の一話が一番の好み。鬼がいると言われる不気味な屋敷で、子供が次々と消えていくのだが―――。ストーカーが出てくる三話の「花の軛」のプロットの捻りも巧い。真のストカーは誰なのか分かった時には驚いた。ミステリというより、ボルヘスなどの幻想的な文学に限りなく接近した小説だと思う。単なる謎解きではなく、人の心の深淵を覗き込む面白さがある。
2017/04/28
HANA
廃墟での鬼ごっこ、見るだけで恐怖感を掻き立てられるCM、付きまとうストーカー、奇妙な誘拐事件…。幻想的な怪奇譚から現代ホラー、サイコパス物にミステリと一話ごとに多彩な物語が展開する連作短編集。特にお勧めなのは「花の軛」と「零点透視の誘拐」前者は主人公がだんだん壊れていく様が何とも言い難い味を醸し出してるし、後者はミステリ独特の意外性を存分に味わせてくれる。他の二作も悪夢の中を逃げ回っている感覚を思い起こさせてくれるし、CMもミステリとホラーの融合としても良作だと思う。ただラストは蛇足のように感じたなあ。
2018/11/08
tom
これすごい好きです。ホラー?ミステリー?いや万華鏡! 各話の中では、ストーカーの話が序盤からぞわぞわして楽しかった。趣向の異なる4話それぞれ堪能してからの「舞台劇を成立させるのは人でなく照明である」。参りました。すきっとしない、と嫌がる人も多いのかも、私自身好みで言えばすぱっと明快な話が好きだけど、その好みを差し置いて凄い!と思わせてくれました。
2017/07/31
おうつき
作中に精神科医・天野が登場する連作短編。最初の「鬼ごっこ」の雰囲気は物凄く好きだけど、後に行くほどガッカリ感が…。順番に読んでいく事で最終章で繋がる仕掛けも、もう少し早く読んでいれば純粋に楽しめたかもしれない。作風と試み自体には惹かれる物があるが、絶妙な読み辛さも相まって読み進めるのがしんどかった。
2020/09/19
のぼる
そのうちに評判の「涙香迷宮」を読もうと思っていて、まずはこちらをと初めて竹本さんを読んでみた。好きな人は好き(当たり前か)と思うが、あかん、苦手なやつやった~。本番に行く前に迷宮をさまよってしまった。
2017/04/13
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