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この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2)

この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2)

この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2)

作家
保坂和志
出版社
新潮社
発売日
1998-07-01
ISBN
9784101449227
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この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

第113回(平成7年度上半期) 芥川賞受賞。 20年ぶりに再会した 真紀さんと僕の会話が 軽妙で面白い。青春時代を 共に過ごした友人と、過去を 語りながら、その後の人生も 会話を通して描写していく。 一つ歳上の真紀さんのキャラが よく、そう言えば、どの グループにもこういう人は 必ず存在し…引きずりがちな事実を 片付けていた…その人と話を することで、青春がフラッシュバック して懐かしい…誰もが経験する 出来事を軽妙な会話でまとめている、 そんな本だった。

2014/07/26

absinthe

じんわり来る良作が多かった。地域という横軸と時間という縦軸、その全体が時代と共に移ろいゆくその姿を淡々と描写する。普段の生活で「何もない一日だった」と形容されそうなその日常をさり気ない言葉で虫眼鏡のように拡大する。その「何もない」一日の中にどれだけドラマがあって以下に個性的なその日であったのか。何も変わらない風景が如何に変わっているのか。この感性なら雑草の野原も退屈しなさそうだ。この植物は俳句の季語にもなっているのに帰化植物だったのか…。

2021/05/27

ヴェネツィア

1995年上半期芥川賞受賞作。仕事先の小田原でぽっかりと空いてしまった3~4時間を、大学の同級生真紀さんと、ちょっとビールを飲んだり、庭の草むしりをしながら語りあう―プロットを語ればこんなものだ。そこにはおよそ事件も、物語的な展開も何もない。語り手の「ぼく」は37歳、真紀さんは38歳なのだが、学生時代くらいまでは「現在」だけが凄まじいスピードで過ぎて行くが、ここにある時間は過去を持つ重層的なそれであり、流れもゆるやかだ。また、「動かされない駒」でありたいと願う「ぼく」には、すでに諦念のようなものさえ漂う。

2014/01/11

のんき

まあ、一つの文章がながーい!5行とか六行ぐらいで一つの文章なんていうのもありましたあ!会話も風景もなんか懐かしい感じがしました。東京の街の描写や植物園みたいなところの描写は、目に浮かぶようでした。東京でも、ちょっと前までは、家の外で、椅子に座って、夕涼みとかしていたんだろうな。畑も林や森ももっとたくさんあったんだろうな。そんな時代があって、平成時代があって、この後は、どんな時代がくるのか、どれだけ生きてるかわからないけど、とにかく災害がなくて、いいこといっぱいあるといいな。みんながHAPPYだといいな!

2018/11/17

翔亀

柴崎友香は女・保坂だ、と言われているので読んでみた。確かに、これといって物語のない日常が淡々と描かれるという意味では似ているかもしれない。が、保坂さんは観念的で哲学的な会話が多くて表面的にはストレートで全然違う。しかし「すごい量の本を読んでも頭の中だけに保存れさただけでおしまい」、「動物が植物みたいに自分で栄養を作れたら労働しなくてすむ」などの発想は、聞いてしまえばあたりまえだが、結構ドキリとしたりして、保坂-柴崎の対話をそのまま小説にしたらこんな感じになるかもなあ、などとあらぬことを想像してしまった。

2014/09/19

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