国書偽造 (新潮文庫 す 12-1)
国書偽造 (新潮文庫 す 12-1) / 感想・レビュー
kawa
江戸幕府成立から30年、3代将軍家光の時代の朝鮮とのやり取りの過程で起こった対馬藩の国書偽造事件が題材。「秩序への反逆の姿勢が時代の流れに埋没する瞬間」(解説より)がテーマで、幕閣を巻き込みながらの対馬藩家老・柳川調興(しげおき)と藩主・宗義成の確執の中でドラマが進行。事件は既知ながら、ここまで見事な歴史ミステリーに仕上げた著者の力量に脱帽と拍手。面白さ全開の拾いもの充実読書タイム。本書を紹介していただいたポッドキャスト「本町文化堂からこんにちは」(和歌山市の書店)の嶋田氏にも感謝(1993年初刊)。
2024/08/30
ophiuchi
以前から気になっていた本で、財務省の公文書改ざん問題がきっかけとなり手に取った。国書偽造が明らかになった経緯は意外なもので期待以上の面白さだったが、公文書をないがしろにする役人たちの姿が400年後の今もあまり変わっていないことに暗然たる思いだった。
2018/09/26
TheWho
江戸初期1631年、家光の治世時に対馬藩主・宗義成と家老・柳川調興が日本と李氏朝鮮の間で交わされた国書の偽造を巡って対立した事件、所謂「柳川一件」の顛末を綴った歴史物語。李氏朝鮮外交を担っていた対馬藩家老・柳川調興が、藩主との諍いで旗本として独立を目論見幕府に対馬藩が、累代李氏朝鮮との国書の偽造を訴える事から始まり、容疑者の確定捜査(訴追)、個別評定(裁判)そして判決と、正に歴史法定ミステリーとも思える展開だった。そして戦国期から江戸安定期の空気を表す興味深い一冊です。
2021/10/31
クサバナリスト
公文書偽造が世の中を騒がせているので、我が国の最大とも言える公文書偽造、国書偽造の物語を読みたくなり、本書を読了。家光の話を含め、なかなか面白いストーリーだった。ただし、史実ももう少し知りたいので、関連する他の書籍も読んでみたい。
2018/04/26
更紗蝦
江戸時代を舞台にした時代小説ですが、法廷モノとしても楽しめます。朝鮮通信使という、比較的マイナーな題材を扱っていることも、ポイントが高いです。辻原登氏の『韃靼の馬』と合わせて読むと、より楽しめると思います。
2013/07/28
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