陛下 (新潮文庫 く 20-4)
陛下 (新潮文庫 く 20-4) / 感想・レビュー
シッダ@涅槃
かなーり久しぶりに再読。初読みはハードカヴァーだったと記憶している。初読みのときはこの世界観に飲まれた。溺れたといっていい。隻眼の北一輝、「可愛くて可笑しくて仕方がない」という弓に惚れ込んだ。ただ今回読んだら、あまり心揺さぶられない。ちょっと”作り物”感が強い、と思ってしまった。ただ、この小説の主人公は剣持梓というより弓だな、という思いを強くした。批判めいていうわけじゃないけど”中二病”患っているひと向けである。
2017/02/22
おぎにゃん
梓の、決して結ばれることはない、結ばれることなど考えもしない、そんな「至高」そして「純粋」な恋…弓の、性愛をそのままに描いていながらも猥褻さを感じさせない「純粋」な恋…2.26事件という、世界にも稀な「純粋なる反乱」の雰囲気ゆえか、今の時代では明らかに「倒錯の恋」なのに、とても美しく感じた…三島由紀夫の「豊饒の海」が読みたくなった。
2014/04/11
あかつや
幼い頃から陛下への愛情を募らせる陸軍中尉・剣持梓。同じく陛下への強烈な愛情を持つ北一輝と出会い、時代の流れへと身を投じていく。二・二六事件を題材とした話なんだけど、正直軍人さんたちのことはどうでもよかったなあ。そんなのより、もう一方の主人公である娼婦・弓が魅力的で、そっちの行く末のほうが気になって読み進めたよ。軍人たちの独りよがりで身勝手な思いなんて、どれほど深かろうと弓のすべてを包み込むような愛には太刀打ち出来ないよなあ。結局こういう部分で男は女に勝てねえんだ。好きなだけ陛下と叫んで果てていったらいい。
2022/04/03
おおきなかぶ
ロマンチックにも程がある。
2020/11/18
わっぱっぱ
「蕭々館日録」が素晴らしかったので続けて読んだけれど、うーん・・・弓という娼婦の逞しさにも、結局ひとりよがりにしか見えない男たちの倒錯した恍惚感にも、今ひとつのめり込めなかった。耽美、狂気、幻想、の類は好きな方なのに、何でだろう。男性作家だからかな。 物語の主軸が何となく曖昧で、背景になっている二二六事件も、肝心の天皇陛下も、どこか蚊帳の外みたいに感じてしまった。 が、匂うような文章はとても美しいと思う。
2015/10/02
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