聖なる春 (新潮文庫 く 20-5)
聖なる春 (新潮文庫 く 20-5) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
土偶の中で暮らす男を描く、幻想的な中編小説。彼の職業はクリムトの偽作を製作することだ。キキという不思議な名前を持つ年下の恋人がいる。久世氏の他の小説と同じように匂い立つような美しい文章で書かれている。日本語の美の極みと言える文章に圧倒されながら読んだ。キキはある日突然姿を消してしまう。その時から主人公は徐々に彼岸の世界へ入っていく。結末は切なく哀しい。それでも偽作ばかり描いていた男が、真の傑作を描き上げるところは胸に迫るものがある。現実の社会では敗残者だった主人公は、芸術に殉じたのだと思いたい。
2018/07/10
James Hayashi
芸術選奨文部大臣賞受賞作。オーストリアのクリムトという画家の事も書かれているが本筋ではない。登場人物はほぼ3名のみであり簡易なストーリー。しかし純文学であり内容が深く読み取りは難しい。もう一回読んでも理解できるかどうか……
2019/03/15
沙羅双樹
初読みの作家だったのだが、クリムトが好きなので読んでみたら大当たりだった。冒頭から惹きつけられページを捲る手が止まらなくなる。間違いなく言えることは「埋もれた傑作」とはこういった小説のことを言うのだ。巧みな比喩表現のオンパレードに、感動のラスト。今年読んだ中でも上位に入る小説だった。
2023/12/07
雨巫女。
クリムトの絵の雰囲気と久世さんの文章がすごくあっている
2010/10/06
逍遥遊
22-22-20170127 久世さんにしては、ほのぼの感が足りないような気がした。陰湿で暗いイメージで全体の物語が進んでいく。でも根底には春のイメージを描き出したいからなんだろうけど。。。ブックオフ行きw
2017/01/27
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