ひなこまち しゃばけシリーズ 11 (新潮文庫)
ひなこまち しゃばけシリーズ 11 (新潮文庫) / 感想・レビュー
sin
前作を受けてお花見に惹き付けられる一向の姿のみならず、若旦那が自らの女房のことに思い至る場面に、そこはかとない切なさを感じます。人である若旦那と違って作中のあやかし達はほぼ不滅、勿論、その若旦那にしたところで物語が読み継がれる限りは不滅の存在なのです。ただ、彼らにとっては現在というこの瞬間の私達読書がまぼろしの様な存在なのです。
2015/01/16
のっち♬
『お願いです、助けてください』という木札を発端に人助けに奮闘する連作短編5篇。『ろくでなしの船箪笥』は小まめに曲がる筋が特徴的。表題作は二大世話焼きキャラを駆使したファンサービス回。『さくらがり』は単品で読むには前振り要素が強い。対極的な夫婦関係を描いた、ホラー系の『ばくのふだ』と試練のテーマが顕在化した『河童の秘薬』が荒唐無稽さを面白味に昇華できていてハイライトだと思う。兄やの存在感が希薄なのと鳴家の濫用がくどいのが気になった。「どうぞ、みんなが幸せになりますように」—震災後の著者の想いが託された一冊。
2023/11/21
ぶち
今回の畠中さんのアイデアは、"たすけて"と書かれた木札。この木札を見つけた若旦那のところに困り事を抱えた人や妖が助けてと次々と縋ってきます。それぞれの困り事がそれぞれの短編となっています。そんな困っている人たちをなんとか自分で解決しようとする若旦那。とても心優しい若旦那に読んでいる私もほんわかとなります。 最後の最後に短編で語られた伏線が回収されて、木札の真相も明らかになります。お見事な展開です。 そして、相変わらず家鳴りの「きゅんい~」っていう声がかわいいです。
2022/05/15
ううち
屏風のぞきが活躍していました。相変わらず虚弱な若だんなですが、兄やたちの扱いにも慣れてきたようですし、男気溢れる台詞にキュンときました。誰のものかわからない木札のために頑張る姿はとても素敵でした。鳴家たちの可愛らしさには和みます。解説もテンポ良くて面白かったです。
2015/02/27
ケイ
最初の開かないタンスの話が一番面白かった。札の理由も謎めいたままで、先が気になって一気に読んでしまう。 「ひなこまち」の古着屋の娘はどうなったのだろうか。妖たちは可愛いのだが、最近はいるだけ、食べるだけになっているから、もう少し活躍させてやって欲しい。
2015/01/21
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