うるさい日本の私 (新潮文庫 な 33-1)
うるさい日本の私 (新潮文庫 な 33-1) / 感想・レビュー
おいしゃん
クレームエッセイというジャンルがあるならば、間違いなくトップだろう。騒音が垂れ流されるのを見かけるや否や、間髪入れずに怒涛の勢いでクレームをつける姿は、もはや爽快。音が異常に気になるなど、色々な意味で自分も通じる部分があるので、同士の姿はちょっと嬉しい。
2019/05/29
昭和っ子
伝える内容よりも伝え方に過剰な注意を払い、非礼な伝え方をして相手を傷つけてしまったと感じると自らも深く傷つき、ゆえに語る事をやめて他人をシャットアウトしてしまう「優しい」日本人たち。私も、後になってあー言えば良かったこー言えば良かったと、ウジウジ悩むタイプなのだが、今度からなるべく語る内容のみに集中して、後でくよくよ考えるなどという不経済な事はやめようと思い、少し気が楽になったような…。イジメを助長する優しい暴力、というのに納得。戦う姿勢を通して新しい視点を与えてくれる哲学者って、大変そうだが凄い。
2015/10/10
D21 レム
中島さんの本は3冊目。激しくつっかかる様子にたじたじ。騒音がうるさいのは理解する。でもクレーマー同然。しかし、中島さんはその抗議や長い手紙やスピーカーを勝手に切るなどの行いをえんえんと書き続けた後、かなり納得できる結論を用意していた。日本人が培ってきた「優しさ」という「察する」美学から、「語る」美学への変換を提案。善意からくると思わせるが、実は違っている騒音問題やいじめなどは「察する」ことからくるものだから、自分の視点で一度は語ることが大事だとする。最後にそのときの細かい注意点が12個あげられている。
2015/09/24
sayzk
駅で「危険物の持ち込み」まで注意して下さる親切放送。あれらをウルサイと言うと「そんなこと思うのはあんたとナカジマナントカさんだけ」と愚妻。しかし音の風景については、容認する気持ち確かにありますね。著者は「語らない風土」がやかましさの土壌と言う。その反面、「明るく」「テンション上げ」て「声出して」を美徳とする風潮もうるさい原因と思う。テレビCMの音量が急に大きくなるのもええ加減にせい!
2018/06/24
よく読む
非常によい本であった。単なる「騒音との戦記」ではなかった。騒音は、町内アナウンス、いらっしゃいませの録音テープ、エスカレーターの注意喚起のアナウンスなどだ。なぜ、その騒音を人々が「聞いてすらいないのか」、なぜ誰も聞かないアナウンスを流し続けるのか。また、なぜ人々が意見を発しないか、意見が発せられることに戸惑うのかなどが語られる。幾多の戦闘から推察された、日本人に根深い「他者に配慮して個を押し殺して黙る」国民性を問題視し、「率直に語る」文化に転換したいと筆者は語る。私も強く同意だ。
2018/01/11
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