醜い日本の私 (新潮文庫)
醜い日本の私 (新潮文庫) / 感想・レビュー
さきん
普段は自分の生き方や気持ちを語ることが多い著者だが、今回は、日本の景観や商習慣に言及した内容。日本の景観の悪さは、京都の事例を中心に見えているものを見えていないことにする日本の多くの人々の深層心理を明らかにしている。逆にアジア的な雑多な景観を自慢している傾向も出てきていると指摘する。また、レストランでの過剰なサービスを受けて、店員の心との乖離やクレーム対応のその時の対応、その後の対応の差のひどさを怒りながら分析している。さすがにクレーマーだと感じる著者の行動も問題だと感じる。
2018/10/26
金吾
いろいろな題材を取り上げ、表現していますが、結論として著者は日本社会の過干渉に対して不満を持ち、著書においてその怒りを爆発させています。そうだと思う部分とやり過ぎと思う部分はありましが読みながら結構笑いました。
2022/08/05
白義
これまた激しい。日本の景観、サービス、言葉への意識をこうもはっきり、オブラートにくるまずに「醜い」と言ってしまうのには感動すら受けてしまう。だが、中島義道が哲学者である由縁は、彼がそれを単に愚かで切り捨てず、根底から揺さぶり戦うためにその醜さを支える感性、思想的原因をとことんまで考え詰めることだ。中島義道は感受性が鋭敏過ぎるのもそうだし、他の人が自然にやってる感受スイッチのオンオフが出来ない人なのだろう。歩く異議申し立て、反-世間-存在だ。だが知識人とはそもそもこのような人のことではないだろうか
2012/08/24
sayzk
海外の事はわからんが接客の異様さは不快な私。また、町の必要以上の看板やのぼり、張り紙には違和感あるも多少許容。看板については古くなるとそれなりに味わいがでる場合ありませんか?松山容子のボンカレー、大村昆のオロナミン等々。もし著者の言に従い、張り紙や看板、警告放送をやめたとしよう。そこに「告知すべし」というマイノリティが出て来たらどうなるか?中島先生と対決見てみたい。「うるさい~」も読んでみようか。尚、2006年の著作なので江戸しぐさについて肯定的に引用されている。
2018/03/28
すぎえ
不快感などの感受性の日本的な部分における示唆には同意できる点があります。もちろん中島義道氏ほどずれてはいませんが。接客態度等でのシステマチックさ、ある種の壁を作る感じ等においてもはっとした。しかしながら、本当に過酷に生きていらっしゃることだ。大衆の目、とか周囲の雰囲気が常に正しいわけではないこと、多様性の認識の大切さは人口が減っている日本においては見直されてくるのかもしれない。
2009/12/18
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