日本国の逆襲 (新潮文庫 こ 26-1)
日本国の逆襲 (新潮文庫 こ 26-1) / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆★ 皆さんの感想にもある通り筒井康隆を思い起こさせる近未来の日本を題材とした短編集。少子化の果てに結婚式で公開セックスを求められる「子供の時間」、渋滞王国日本をデフォルメした「車神」、ユートピアを目指して彷徨する「千年観光団」、ある意味グロテスクナスポーツでもある相撲を見事にパロディにした「大相撲の滅亡」、凡庸な日本人になるのも一筋縄ではいかない「インドから来た青年」、酒乱であれば身につまされる「酒乱クラブ」、そしてみんな日本人になった表題作、他「PH7の秋」「懐瘋譚」。
2023/08/14
林 一歩
初期の筒井康隆を思い起こさせるfunnyな短編集。
2015/03/29
猫丸
鍛え抜かれた鋼の如き、あるいはほとんど芸術的なほど精緻に組み上げられた、凡庸。わがニッポン民族には、その特殊性を見出したくなるほどの奇妙な処世術が沁み渡っている。激甚災害に見舞われた当事者の浮かべるアルカイック・スマイル。無意味な付加価値で彩られた日本製工業製品。灰色一色のサラリーマン群の間隙から世界水準のオタク芸術が飛び出す不条理。キリスト教的凡庸を遥かに凌駕する徹底的な凡庸が過激に煮詰まった坩堝がthe end of asia に秘蔵される神秘は西洋人の正常思考の45°上方にある。そんな作品集。
2020/02/12
ぜんこう
日本を風刺した作品がほとんどの9編。読んでいて苦笑いしてしまう。面白い作品だなと思ったけど最後の「子供の時間」は読んでいて不快になった・・・終わり悪けりゃぶち壊し!(-_-;)
2014/04/19
Shogo
「日本」を題材にカリカチュアした近未来SF風味な出鱈目短編集。日本人の精神性、日本が抱える社会問題、海外からみた日本のイメージを小馬鹿にしながら、ほとんどやおい的(「やまなし、おちなし、いみなし」的)に構成されている。小林恭二は『電話男』の頃からポストモダン的手法で小説を書いてきたので、これもその手法を活かしつつ、よりエンターテイメントな仕上がりになっている。筒井康隆のような「悪趣味」な作風は確かに読み物としては面白いが、今読むと時勢的に古めかしいネタもある一方で現代に通じるものもあり空恐ろしい感もある。
2017/07/16
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