父 (新潮文庫 こ 26-3)
父 (新潮文庫 こ 26-3) / 感想・レビュー
三柴ゆよし
著者従来の作風からすると異色作ということになろうか。事実と事実の間隙を縫うようにして、言語に尽せぬ空虚をその身に宿した、ひとりの「父」の姿が現前してくる。自身と父との微妙な関係についても、ある程度まで言葉を費やしており、その点では、著者唯一の(私の知る限りでは)私小説といえるかもしれない。批評と感傷が見事に折衷した傑作であろう。「昼の月淡々しきを一目見て終に言い得ぬ物を悲しむ」。
2010/12/29
ミツ
著者が自らの父の生涯を親戚知人へのインタビューとそれに対する批評を綴った小説。 作家の身内自慢かと思いきやなかなかどうして感傷的で、父のことを誇るでも貶るでもなく鮮明に書き出そうとしている。 やはり戦前生まれの人の人生は壮絶で、迫力があり、ドラマとして十二分に面白い。
2009/08/20
takao
ふむ
2024/09/22
うき。
シャッターが下りたままだからこの距離感で書けたのか。これだけの人に話を聴かせてもらえるだけの人であったということは、ご本人は否定されるかもしれないが、こどもとして誇らしいものではないだろうか。どうもいろいろあったらしい祖父のこと、食い下がって聞いておけばよかったなあ。家族の歴史を知るっていい作業だなあ。
2010/08/25
九鳥
淡々としているのに、胸に迫ってくる。
2005/02/01
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