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天窓のある家 (新潮文庫)

天窓のある家 (新潮文庫)

天窓のある家 (新潮文庫)

作家
篠田節子
出版社
新潮社
発売日
2006-09-28
ISBN
9784101484150
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天窓のある家 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

9つの短篇から成る。篠田節子には、いくつか心の琴線を震わせる長編小説があるのだが、彼女が短篇小説の名手であることを証しした1冊。篇中で「世紀頭の病」と「誕生」とは、いくぶんオカルティックな趣きだが、他は社会参加を懸命に図る女性たち(懸命にそうしなければならないところに日本社会の病巣もまたあるのだが)を描く。相変わらず上手いなあと思う。ここに登場する男たちは概ねふがいないで(いかにいばってはいてもだ)、状況を前に進めるのは女でしかないのである。この人の小説の女性主人公たちには応援のエールを送りたくなる。

2021/07/13

まこみん

女性目線の日常に潜む心の焦燥感。何れもが引き込まれてしまったが、特に最初の「友と豆腐とベーゼンドルファー」有子の決断に大満足。現実と理想を履き違えてる身勝手夫は要らない。ラストに弾いたリストの曲目も楽しく空想した。「天窓のある家」女の嫉妬心を自ら認めないまま、どんどんエスカレートする怖さ。秀子のあの闇の感情が膨らむ様子に目が離せない。「世紀頭の病」突然28歳位の女性にだけ凄まじい老化現象が現れる病が流行る。男性は罹患しないと思われていたが…このラストはブラックだけど笑った。又再読したくなりそうな一冊。

2017/01/15

yumiko

相変わらずきりきりと痛いところを突いてくる。流石だなあと思って奥付を見たら、なんと10年以上前の作品だった。ずっと第一線で、そのペン先はいつも鋭く研ぎ澄まされている。女性が語りの八編は、どの物語にもどこかに自分がいるような気がした。今の自分、過去の自分…ちょっと違うと思っても、それは未来の自分の姿かもしれない。母であり女であり、その感情の揺れの描写は身震いするほどリアルに感じた。忘れられない一編は最後の男性語りのもの。やはり初恋の人と母親には勝てないのだな。ラスト胸の奥をきゅっと締め付けられた。

2018/01/30

あつひめ

夫婦、親子、友人…それぞれがいろんな想いを抱えながら生きている。向き合っているうちはいいが、背を向けられたら想いは一方通行。感情のバランスが崩れていく。小説を読むとよく感じることがある。あー、こういう夫婦もあるのかと。でも、他の人が我が家を見たら同じように思うかもしれない。人の数だけ形はあるということだ。短篇なのにとても濃い文章。女の持つドロドロとサバサバの入り混じった感情がとてもリアルで、自分の生き様を振り返りたくなってしまう。リアルに怖い…本当にその通りだと思った。

2017/01/11

アッシュ姉

濃いい短編集。不平不満、嫉妬や焦燥感から狂気にかられていく女たちにざわざわしまくり。病んでいることに本人が気づいていないのが不気味で怖い。他人事と言いきれず、自分にも当てはまるような闇もあり、エネルギーを吸い取られたようで読後はへとへと。「誕生」はアンソロジーで読んでいたけど、二回目でもきつかった。「友と豆腐とベーゼンドルファー」くらいがニヤっとできてちょうどいい。

2019/09/10

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