仮想儀礼(上) (新潮文庫)
仮想儀礼(上) (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
都庁の管理職試験Aに合格していたエリート公務員が、新興宗教の教祖にというのには、幾分か無理を感じないではない。例外は当然あるが、こうした新興宗教に最も典型的なのは、強いカリスマ性を備えた教祖と、それを支える理知的で組織力のあるNo.2といった組み合わせだ。主人公の正彦は自分でもわかっていた通り、本来はこの教団No.2になるタイプだ。そんな彼が教祖と率いる教団の立ち上げから、ある程度の成功に至るまでが上巻。この巻の終わりの方では、周縁のあまりの生臭さに目を覆いたくなるほどだ。いつもながらの巧みな展開だ。⇒
2018/01/03
遥かなる想い
失業した男たちが、生きていくために始めた宗教と、それにまつわる様々な事件を描いたもの。現代社会の病理のようなものを宗教の視点で描いている。 (2010年このミス国内第七位)
2011/10/15
やこ´•ᴥ•`
都庁職員の正彦はゲーム作家になる夢を諦めきれずに、思い切って仕事を辞めてしまう。が、編集者の矢口になかば騙されたような形で作家にもなれず、失業者となってしまう。そんな中、矢口と再会しその場のノリで新興宗教を立ち上げて金儲けしよう!という話になり...---荻原さんの「砂の王国」を読んでこのテの世界観にハマった勢いでこちらを手にした。うーん面白い!!つかみとしては砂の王国の方がハマったけれど、読み進むにつれてどっぷりと仮想儀礼の世界に浸ってしまった。正彦が常識的な人格者で矢口は人たらしの優男。続きは下巻へ→
2020/02/15
BlueBerry
新興宗教団体が成長していく様を見るのは正直言って割と楽しかった(笑。動機は不純としてもそれで心安らぐ人がいるならそれも「あり」だろうと思います。
2014/05/16
ntahima
『聖域』『ゴサインタン』『弥勒』の宗教三部作に続く第四弾!ゴサイ~が僻村に嫁入りしたネパール人妻が神懸り状態になり自然発生的に教団が形成される過程を描いたのに対し、本作では失業中の男二人がほどほどの金儲けを目的に似非教団を作る。ところが思惑を越え信者の数は増え続け、やがて二人は現代日本の宗教を取り巻く大きなうねりの中に呑み込まれて行く。教祖役は元都庁職員であり、詐欺師にも拘わらず社会常識に長けた堅実な人物として描かれており、物語の目撃者の役割を果たしている。終盤、宗教を食い物にする怪人物登場。読み応え有。
2012/04/30
感想・レビューをもっと見る