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長女たち (新潮文庫)

長女たち (新潮文庫)

長女たち (新潮文庫)

作家
篠田節子
出版社
新潮社
発売日
2017-09-28
ISBN
9784101484204
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長女たち (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

いやぁぁこれは、、、。読み終わって、どんよりモヤモヤすること請け合いな。娘を自分の一部のように扱うことになんの疑問も抱かない母親と、小反発はしながらも、そんな母親に支配され続ける中年の長女たち。これを読んで「わたしには関係ないわ」と言える女性はいないんじゃないかなぁ。さすがの取材力、篠田さんの本領は、こういう作品にこそ活きると思わせられる。

2018/01/15

あすなろ

老いるという事。それを篠田氏に多方面よりテーマを与えられ、考えさせられる中編3編であった。そのどれも篠田氏らしく各々凄惨である。しかしこれが一つ一つの現実でなのである。いかに世が綺麗事に彩られ、見て見ぬ振りをして蓋をされているかも解ってしまう。そして、それらを捉えて生きざるを得ない我々の世代が各主人公達として描かれるのである。なかなか辛い読書体験となったが読んで良かった作品達となった。

2022/09/25

新地学@児童書病発動中

ずしりと重たい3つの物語。3編とも100ページを超えており、細部がしっかりと書き込まれてリアリティーを感じる内容だ。親の介護という今日な問題が主題になっている。さらに長女と母親関係に焦点が当てられ、哀しいような息苦しいような血の絆が浮き彫りにされる。「家守娘」の認知症の描写は本当に見事で、この病気のやっかいな周辺症状を介護する苦しみが伝わってくる。「ミッション」は密度の濃い傑作。介護だけではなく、異文化との接触、生と死、女性のキャリアといったさまざまな要素が詰め込まれて、読み手に様々なことを考えさせる→

2018/02/25

じいじ

篠田節子の小説だけに、少々の辛さは覚悟して読みはじめたが、3編ともずしりと胸にこたえる小説でした。母親の認知症の始まりは、他人ごとでは済まされない、明日の我が身として本気で読みました。ヘルパーや他人の手助けを拒否するの母親を介護するために、それまで積み上げてきたキャリアを捨て、恋人とも別れる長女には頭が下がる。そこまで娘の人生を犠牲にさせる権利が、果たして母親側にあるのだろうかと考えさせられた。私は「ない」と思う。芯のしっかり据わった三人の女性を主人公に描いた、篠田さんの小説は読み応え充分です。

2020/08/20

ふじさん

「家守娘」の直子は、認知症の母親を介護するために恋人と別れ、仕事のキャリアも諦め介護離職を選択する。「ミッション」の頼子は、尊敬する医師の志を継ぐためにヒマラヤの山奥に赴任したが思わぬ現実が待っていた。そんな中で、孤独死した父親への悔悟に苛まれる。「ファーストレディ」の慧子は、糖尿病が悪化して腎臓移植しか延命の可能性がなくなった母親へ自分の腎臓を提供するべきか苦悩する。老親の介護から逃れるすべもなく、家族から当てにされ、一人重い現実と格闘し苦悩する長女たち。言葉には出来ない心中と微かな希望を描いた作品。

2023/07/24

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