枯れ蔵 (新潮文庫 な 34-1)
枯れ蔵 (新潮文庫 な 34-1) / 感想・レビュー
みも
序盤は一向に事件らしい事件が起きる気配はなく、米農家に絡めたお仕事小説の様な様相を呈しつつ、突如発生した幾種類もの農薬に耐性を持つ害虫の謎が深まる。刑事も探偵も登場しない。さはさりながら、紛れもないミステリー小説。「毎年実る米こそが彼の家族であり、唯一の愛情の対象だった。」この記述が端緒となる。陰惨な描写は元より殺人事件すらないが、哀感に溢れた上質なミステリーに仕上げた構成の妙。センチメンタルな情感もありつつ、思いのほか読後に悲愴感はない。エピローグでのピアスの絡め方には、女流作家らしい細やかさを感じる。
2020/09/03
ぱなお
農業ミステリー…ネーミングが面白い。食物に纏わるミステリーは読んだことはあるけど、「結局は米。」というぐらい米のみ。複数種類の農薬に抵抗性を持つ害虫が富山県の水田限定で現れた。自然発生とは考えにくい状況の中、農薬をまかない有機米に拘る農家と、稲が全滅するのを回避するためにはやむを得ず農薬をまくべきだと主張する団体と農協。それとツアーコンダクターの自死。まったく繋がりが読めなかった関係が、順々と繋がっていく。500ページの厚さだったけど、ペースよく読めました。永井さん3冊目ですが、短編とは印象が違いました。
2020/06/12
のじ
有機農法のお米に農薬の耐性があるウンカが湧くのと、謎の女性の自殺をめぐる謎を解いていくお話。この人のを何冊か読んでいるけれど、こういうテイストのものも書いていたのかー、という感じ。なかなか面白かった。有機農法が良いとか農薬がダメとかいう結論付けに偏っていないところに好感が持てました。
2020/06/20
へいがぁ
農業ミステリー。何となく真保さん初期作品の小役人シリーズを連想しました。
2016/08/23
青雲空
農業ミステリー。さすがは北大農学部卒業だけある。
2016/10/15
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