知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫nex)
知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫nex) / 感想・レビュー
徒花
あんまり趣味じゃなかった。プーの23歳女性がひょんなことから実家を追い出され、かつての親友の元彼でセーラー服のコスプレをしている男となぜか同棲生活を送ることになるという「圧倒的恋愛小説」。とはいえ、別に二人のラブラブな描写があるわけではなく、薄暗い感情の波を軽薄なキャラクターと文体によってポップな感じにコーティングしている作品。なんとなく滝本竜彦氏の『NHKにようこそ!』を思い出したりした。私はやっぱり登場人物の心情の機微よりも、単純にストーリーの面白さを重視してるんだなあと改めて実感した。
2018/01/27
岡本
とらドラの作者の小説という事で購入。恋愛小説と謳ってるほど甘々ではなく、親友の死で塞ぎ込んでいた無職女が親友の元カレとのイベントを通して独り立ちする話。親友の亡くなった理由もはっきりする訳じゃなく親友の元カレと恋仲になる訳じゃないけど日常って感じ。終盤でのどんでん返しを警戒したけど割と軟着陸な優しい世界。少し元気が出る一冊。
2019/10/31
かめ吉
タイトルに惹かれて図書館で借りてきました。清瀬朝野の死をキッカケに、後悔や罪悪感を感じるようになった枇杷と昴が、同棲をしていくうちにこれからの自分や死んだ朝野とどう向き合って、どう変わって行くのかを書いた恋愛小説。ラノベを書いてるイメージが強かったけど、展開や会話もテンポが良くて読みやすい小説でした。朝野の死を乗り越えて自分から一歩を踏み出した枇杷の成長が印象的でした。ラストも自分なりに納得できる終わり方で良かったです。
2015/04/20
しずく
うん、めっちゃ良いです。読み終わってから、冒頭と最後が同じシーンなのだと気づいてホロリときた。”くるくると回る世界に、枇杷はそうやって永遠に愛を生かす”昴と枇杷の人間らしさがエラーなく読み終えることが出来た。全部、回っている。くるくるくる…。巡り巡って戻ってきたのは枇杷の断罪であり、昴と枇杷の再会であるのだと信じることが出来た。そうして転がった運命は今度こそ幸せに向かうんじゃないだろうか。あれだけもがいたんだから、きっと明るい未来があるはず。それでもきっと朝野のことは忘れられないんだろうなぁと思うけれど。
2014/09/04
Tsukamo
あらすじにあるような“圧倒的恋愛小説” とは言い難いが楽しく読めた。テンポよく話が進み、コミカルな文章で笑いを誘うところがあれば、親友の死によって生じた罪の意識や喪失感をシリアスに表現して、こちらの心まで沈めさせる。読了後おいしいおかゆが食べたくなること必至。
2014/10/30
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