この部屋で君と (新潮文庫nex)
この部屋で君と (新潮文庫nex) / 感想・レビュー
ミカママ
書店でタイトルに惹かれ、作者のメンツを確認してからお迎えしたアンソロ。期待以上だった。中でも「初めまして」作家さんの飛鳥井千砂さん、徳永圭さん、吉川トリコ(彼女は既読かも)さんがよかった。こういう拾い物ができるのがアンソロの魅力。「(家族ではない)誰かと住む」、憧れたよなぁ。結局ワガママなわたしが同居できたのは、オットが初めてだったが…。白金あたりの不動産屋さんの前で立ち止まって、物件の間取り図を食い入るように眺めている不審な中高年女性居たら、それはわたしである(笑)
2024/01/24
Yunemo
8名の作家による、誰かと一緒に二人で住む物語。4名の方が初読み。8つの部屋のそれぞれの住人の思い込み、そして他人と暮らす面倒さと温もり。どの部屋に一緒に住める方がいたんだろうか。「冷やし中華にマヨネーズ」、なんだか有りそうであり得ない関係。13年間の重みは?ただこの腐れ縁的付き合いには気持ちが揺らぎます。「月の砂漠を」、お互いがお互いを思いやりすぎると、こうなってしまう? ただただ、一つの部屋でいろんな人生を送るこれらの話は、自身にあてはめられる部分と全く筋違いな部分と。この想い、これだから読書は楽しい。
2014/09/28
にいにい
誰か(人じゃない場合も)と一緒に暮らすことを8名の作家が描く。一緒に暮らすのは楽しいが、面倒。腐れ縁の恋人、似たもの同士、青年と少女、出張先でのホテルの一部屋、妖怪との日々も。様々なシチュエーションでの相手への思い。朝井、坂木、越谷さん以外は、お初の5人。気になる作家さんとも巡り逢え、嬉しい~。「それでは二人組」での躊躇しがちな女子心、朝井さん上手いな~。最後のセリフの唐突さもナイス。「女子的生活」では、同級生の反応に笑いを誘われる。「ジャンピング」や「冷やし中華」の潔さ、「月の砂漠」の思いやり、一読あれ
2016/04/01
ちはや@灯れ松明の火
いっしょに暮らす、なんてそう簡単なもんじゃない。家賃光熱費折半は財布にやさしくても、私的空間共有するんだから最低限の価値観が近くなきゃちときびしい。テレビ番組みたいなお洒落なシェアハウスに憧れても生活臭にイラつき、最初は甘かった同棲も経年劣化で些細なことにムカつく、恋愛に負けたらあっさりと解消される絆。気楽な単身住まいに元同級生やネグレクト児童や土地神様が加わって突如始まる異文化同居生活、ふたりで食べるとご飯の味も変わる。友達以上家族未満、妥協と我慢を隠し味に割とうまくやっていけそう。この部屋で、君と。
2016/07/03
おかむー
味わいは違うけれどどれも上出来なアンソロジー。『よくできました』。朝井リョウ『それでは二人組を作ってください』なんかどっかでみた空回りのイタさだと思ってたら『何者』のあのひとか(笑)。越谷オサム『ジャンピングニー』これは『いとみち 三の糸』のちょっと前のお話、本編ではなかった視点が新鮮。坂木司『女子的生活』仕掛けとしてはこれが一番面白かった。似鳥鶏『十八階のよく飛ぶ神様』なんだかラノベ感( ̄▽ ̄;三上延『月の砂漠を』なんだかブンガク感。他三作もテイストはいろいろ、小品ながらも佳作といった感触でしたとさ。
2014/09/07
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