ジキルとハイド (新潮文庫)
ジキルとハイド (新潮文庫) / 感想・レビュー
ehirano1
善悪に代表される2面性を、SとMという2面性から本作を見てみると、「社会的高位の人にMが多い」という説とは相反する内容となってます。しかしながら、単なる否定ではなく、いずれか片方に振れてしまうことになるとも読めます(勿論統計的云々は無しですが・・・)。人は様々な2面性を内側と外側というこれまた2面性の中で狂わずに生きているというある意味奇跡の生き物なのかもしれないと、そんなことを思ってしまいました。
2023/05/19
海猫
スティーヴンソンは「宝島」を何回か読み直している。「ジギルとハイド」はタイトルがあまりに有名だし、○○○○を扱った話であるというのは知っていたけれど、小説は初めて読んだ。怪奇で奇妙な出来事があって殺人事件も起こるものの、最終的にジギル博士の独白で真相が明らかになる構成。だから○○○○のことを知らずに読んだ方が面白かったろうが、仕方がない。にしても、こんな話だったんだ!という驚きはあったし、作品の格調、ゴシックな雰囲気、語り口の工夫など読みどころは多々ある。歪んだ欲望に流される良識人の話としても納得感あり。
2023/08/06
ykmmr (^_^)
今の時代だと、認知されやすい二重人格も、この時代だと認知も少なく、この小説も斬新で受けたんじゃないかなあと推測。まあ、身体まで変わってしまうケースは、いつの時代もないから、この小説の『世界』であるだろうとまずは思う。そんなファンタジー要素を取り入れながらも、実際はミステリー。自分の本心と互い違いの行動をしてしまい、ある一時の感情ですら波がある苦悩。自分もうつ病経験があり、その辛さは凄くわかる。何もない時は、人格に問題がある人を辛口で叩く訳だけど、自分がそうだと、色々な感情を同時に持つ苦悩は計り知れない。
2022/07/28
こーた
ジキルとハイド。読むのははじめてだけれども、さすがにその正体は知っているのである。夜の街を闊歩し、悪行を繰り返す恐怖の小男ハイド。ジキル博士は内なる欲望をいかにして解放し、あるいはまた食いとめようとしたのか。善と悪の葛藤、その正体が明かされる過程は?ふたり(ひとり?)のことはよく知っていても、博士の親友にして探偵役アタスンの存在は知らなかった。その友情と知性に脱帽。オチはわかっていながらも、存分に愉しめる二重人格モノの元祖。【ガーディアン1000冊】14冊目(SF&Fantasy:4冊目)。
2018/02/19
5 よういち
1885年に執筆された作品だが、情景は現代ヨーロッパという感じがした。題材は今となっては簡単に理解できる内容だが、当時としてはホラーにも属すものだろう。先は読めているのだが、そこは現代まで読み継がれる古典の類。ジワリジワリと真祖が明かされていく進み方に楽しみを感じた。ジキルの手紙に書かれてあったハイド氏を称して「これもまた私だ」という言葉は誰しもが持ち合わせている二面性を指しているのだろう。この言葉にとても深いものを感じた。
2021/02/02
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