貧しき人びと (新潮文庫)
貧しき人びと (新潮文庫) / 感想・レビュー
青蓮
本作はドストエフスキーの処女作ということで、彼の作品の中でも比較的読みやすい部類に入るかと思います。小役人マカールと薄幸の乙女ワーレンカの愛の行方は如何に。「貧困」という病理は、未来にあるはずの全ての可能性を蝕んでいく、恐ろしいものだとひしひしと感じました。貧しさがなければ、二人が引き裂かれることはなかっただろうに。一番最後の手紙にあるマカールの悲痛な叫びがとても切ないです。そして現代社会に蔓延しつつある「貧困」についても考えさせられる所がありました。
2016/02/24
のっち♬
初老の小役人と幸薄な少女の間で交わされる往復書簡という体裁で、寄る辺ない孤独と貧困を抱えた者同士の絆が描かれる。挿話が示唆するように金は必ずしも人を幸福にしないし「貧乏は罪ではない」、しかし、「浮世の気苦労」は「こんなにも人を卑屈にする」し、貧乏は堕落と破滅をもたらす。貧乏で結びついた二人の現実に対する姿勢の違いや温度差は絶妙。それでも献身的な愛情をみせる彼の文面をはじめユーモアとペーソスが随所に生きている。少女の昔話や外套のボタンが落ちる場面、最後の手紙などは印象深い。物質と精神の豊かさを問うた処女作。
2018/04/14
ペグ
貧しさと当時の社会背景故に引き離される心と心。熱烈な想いと饒舌な言葉(手紙の文章)によって益々熱い。処女作との事だがこの溢れ出る想いをこれだけの文章にしなければ納得出来ないのは、彼自身の体質なのだな〜だからこそのドストエフスキー!
2019/08/24
みゃーこ
泣きたくなるほど繊細な作品。間違いなく名作
2013/11/22
どんぐり
ドストエフスキーの処女作。小役人で貧乏を極めるマカール・ジェーヴシキンによる「わたしの可愛い人、わたしのなつかしい人、わたしのいとしい人」と言わしめる薄幸で病弱な女性ワーレンカとの往復書簡。ワーレンカの保護者となり、資金援助をする小役人は常に極貧状態だ。ほつれた一本の糸につながったボタンが服からコロコロと音をたてて転がり、男の身なりがあまりにもみすぼらしいのを見かねた閣下が金を手渡すくだりは爆笑もの。物語はワーレンカが去ることによって終わる。ふーん、イマイチ主題がわからなかったな。
2022/10/15
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