カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ehirano1
科学というか、「合理主義vs.宗教(=新旧の価値観の正面衝突)」の二項対立の描写が既に圧巻。扱うテーマも多い上に、人間関係も整理できるまで結構難解で挫折本と云われるのも肯けますが、それを超えたところにはどんな景色が待つのか後続の巻が楽しみです。
2024/08/15
ケイ
五年前に亀山訳で、今回は講座受講のために。力量のある訳者であれば、これほどの大作の、一文一文の奥にある思想や物語の流れに差はないと思われる。パイーシイ神父の別れ際の優しい言葉、イワンの大審問の前振りの語りが一番心に残る。イワンが「神が存在しないのなら、考え出すべきである(ヴォルテール)」を引用の後に、「もし悪魔が存在しないとすれば、つまり、人間が創り出したのだとしたら、人間は自分の形に似せて悪魔を作ったんだと思うよ」と語り、神がいなくとも1人で善行をなす人はいるとアリーシャに語る時の彼の煩悶が興味深い。
2018/06/27
のっち♬
三兄弟と父は長老の仲介で顔を合わせるが、女性をめぐって長男が父が対立する。強欲の権化、放埒な直情型、インテリ無神論者、神の愛の実行者…カラマーゾフ一家をはじめ、著者がこれまで混迷したロシア社会から掬い取って濃縮錬成してきた選り抜きの人物像が結集。上巻は複雑な人間関係を外堀から埋めるようなストーリーテリングと執拗な長広舌を積み重ねながら、重厚かつ深淵な世界観の土台を着実に形成してゆく。中でも『大審問官』は神と人間、信仰と自由を問う著者の思想の精髄。このキスは自由の重荷に苛まれる人類への彼からの究極の回答だ。
2018/12/04
青蓮
以前読んで挫折したので再チャレンジ。登場人物達がとにかく濃い。圧倒的な熱量を持って読み手に迫ってきます。人間とは何か、神の存在、信仰、愛、憎しみ、貧困、苦悩と言った人間が背負うありとあらゆるものの坩堝に惹き込まれて、ページを捲る手が止まりませんでした。上巻の白眉は第二部の第五篇にあるイワンとアリョーシャの対話。特に「反逆」「大審問官」あたりがポイント。正直、この当たりは難しくて、なかなか理解が及ばす苦戦しました。キリスト教の知識があればもっと理解できたのかも。個人的に天真爛漫なアリョーシャが好き。中巻へ。
2016/10/24
ハイク
サマセット・モームは世界十大名作の一つに数えている。また多くの著名な作家等が愛読書、世界最高峰の小説と言っている。カラマーゾフ家の父親フョードルと三人兄弟の物語である。非常に読みにくい本である。それは登場人物のセリフがものすごく長い。長編なので一気に読了するわけにはいかない。サイトのアドバイスは登場人物のメモを片手に読むこと、前もってサイトで粗筋を把握しておいた方が良いとのことだ。特にイワンの語りはセリフが特に長く、内容も難しい。中でも上巻では最後の「大審問官」はキリスト教が絡み理解するに骨がおれる。
2017/11/10
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