ヘルマンとドローテア (新潮文庫 ケ 1-2)
ヘルマンとドローテア (新潮文庫 ケ 1-2) / 感想・レビュー
優希
珠玉の恋愛叙事詩と言えるでしょう。フランス革命を背景に、ドイツで出会った裕福な青年・ヘルマンと避難民・ドロテーアの恋愛が奏でる物語が美しかったです。世界が動揺と変換の中にある中で愛を貫く姿に、人生の秩序が映し出されているような気がしました。時代背景を絡めた、心の動きの中で愛を大切にした生き方に感動の一言に尽きます。ゲーテが生涯愛してやまなかった作品というのもうなずけます。
2016/11/19
双海(ふたみ)
富裕な一市民の息子ヘルマンが、フランス革命の戦乱におわれた避難民の娘ドロテーアを妻に迎え、人生の秩序を築くにいたる顛末をうたった恋愛叙事詩。ドイツ小都会の香り高い市民生活と、世界という大劇場の動揺・転変とが同時に映しだされた珠玉の名篇であり、ゲーテ自身、終生愛誦してやまなかった作品。(本書紹介より)
2014/07/28
そのとき
ゲーテの珠玉のフレーズが散りばめられていて、宝箱だった。こんなだとは思わず(薄いし!)たら〜っと読んでしまったけれど、もっと付箋貼りながら読めばよかった。今度詩集も読む。
2018/09/26
SIGERU
ゲーテ自身に最も愛されたという、牧歌的な恋愛叙事詩の名作。村の若者ヘルマンと戦火を逃れてきた少女ドロテーアの素朴きわまる恋愛が何とも微笑ましい。1797年発表、フランス革命後の騒擾と戦乱とが背景になっており、古雅な物語に現実感を与えている。恋多き文豪として知られるゲーテ。この作品も、女工クリスティアーネとの恋愛体験が反映しているとされるが、出逢いの当時彼女は23歳、ゲーテ39歳といえば、聊か脂っこさを感じさせる。男女の生々しい体験からでさえもこのような清冽な恋愛文学が生まれるところに、文学の玄妙を感じる。
2017/07/30
powder snow
愛国心と理想の家族像、そして慈悲深く分別のある、志の高い人物たちの言葉が胸に沁みる。若者の恋愛成就と心の成長の話なのだが、その親や牧師、長老といった、若者や民衆を牽引していく人たちの人格や寛容さの方が際立っていて、年を重ねたことによるゲーテの精神の成長を感じた。苦難に陥ってみなければ気づけない、温かで平穏な日常生活の尊さと、苦難に陥ったときにも、それに屈しない心の持ちようを示し、この先この国に何が起ころうとも、国の平和を守り、堅実な家庭を築こうというメッセージに、ドイツ国民なら励まされる気持ちがするだろう
2016/05/15
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