若草物語 (新潮文庫)
若草物語 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
この小説が書かれたのは、アメリカでは南北戦争の頃、日本ではまさに明治維新の年。今でも本国ばかりか日本でも、新たな読者を獲得している人気作のようだが、多くの人が最初に読むのは少女時代にだろう。そんな作品を私も読んでみた。4姉妹は、それぞれに個性も鮮やかだが、最も読者の共感を集めそうなのは、作家自身が強く投影された次女のジョーだろう。また、心の琴線を震わせる場面は、何か所か用意されているが、私はベスがピアノを贈られる前後をとる。これは、時代も、ジェンダーも、世代差さえも超えて愛される稀有な小説の一つだ。
2016/04/08
アン
南北戦争中、父が留守の間、母と助け合い成長するマーチ家の4人姉妹。温順で信心深いメグ、活発で自立心の強いジョー、内気な心優しいベス、おしゃまなエミイ。登場人物たちが魅力的で、姉妹のそれぞれ異なった性格が様々な出来事を通し浮かび上がり、初めて読んだ時の気持ちを懐かしく思い出します。迷える心を明るく照らす太陽のような母。深い愛情を示す威厳ある父。慎ましくも希望を失わず、試練を乗り越え、幸せを紡ぐ大切さがしみじみと。心を支える信頼と善良さ。早春に芽吹く若草のような瑞々しい香りと優しい微笑みに包まれる物語。
2020/05/26
ケイ
子供の頃、母に進められて読んだ時は、自分が全くこの少女たちのようにいい子ではないと少しさみしく思ったものだった。こういう少女たちになれということなのだろうなあとプレッシャーも感じていた。今回は、あまりに平和なのがお伽噺のようで、シンデレラや白雪姫に憧れなかった私には別な意味で少しキツい読書。ピクウィックペーパーズの章は、とても楽しく読めた。
2016/04/23
kaizen@名古屋de朝活読書会
作家になるジョーの視点で見ると、話がよく分かります。 一番年下の、我が儘なエミリーが、誰と結婚するのかも注目の的です。 女性の姉妹ばかりだと、こういう賑やかな家族になるんだということが分かりました。 文学者の文学者による文学者のための作品。 赤毛のアン,あしながおじさん とともに、文学者の登竜門かもしれない。
2013/04/24
bookkeeper
★★★★★ 初読。南北戦争支援の為に夫が不在のマーチ家。穏やかなメグ、活発なジョー、おとなしいベス、おしゃまなエミイの四姉妹の瑞々しい成長の軌跡。 150年前のアメリカの人達の暮らしぶりや理想とする精神性が感じられるお話し。豊か過ぎず、勤勉で謙虚で、隣人に親切たれ。時代が変わっても人の心を捉えて離さない幸せの形を感じられます。思いの外充実している生活物資やペットを飼うなどのゆとりの一方で、病による死も結構身近にある世界。皆素直で優しい。昔、日曜夜にやってたアニメの子供劇場にぴったりの世界観ですね。
2021/07/29
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