デイヴィッド・コパフィールド(1) (新潮文庫)
デイヴィッド・コパフィールド(1) (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
本作は著者自身が物語の初めに書いているように自身の半生を描いた自叙伝的な物語の第1巻。デイヴィット少年が誕生してから、10歳に成長するまでを描いている。自叙伝的と表現したのは、ディケンズの境遇とデイヴィットの境遇とでは、かけ離れた個所があるので、いわばディケンズの心の内を表現した心象的自伝といったほうが適切だと思う。以前から本作を手に取ろうと思っていたのですが、現在に至ってしまった。1999年にBBCアメリカとボストンのテレビ局WGBHによって共同制作され、2000年にアメリカTV番組として放映された。
2021/10/31
NAO
【誕生月にディケンズ再読】人形のように可愛いけれど世間知のない母、全ての人を型にはめ自分に従わせずにはいられない義父、変人の大伯母。ディケンズの作品には、戯画的な人物がよく登場する。この大伯母は、『荒涼館』のジャーヴィス氏と同じタイプで、彼らのような良識を持ち合わせている人間が世捨て人となり変人として扱われるのは、ディケンズの皮肉だろう。大伯母がディヴィッドに示した3つの約束を彼が守れるかどうか、ディヴィッドの試練は始まったばかりだ。
2017/02/01
優希
いきなり波乱万丈な展開で戸惑いました。幼い頃から大人でも苦痛な人生が待っていたのですね。意を決して徒歩で旅を開始するのが唯一の解放だったのかもしれません。続きも読みます。
2024/01/23
田中
「マードストン姉弟」の専横ぶりが憎々しい。継父マードストンに厳しく矯正される子供デイヴィット。冷血漢ぶりを「再婚」してから知り、取り乱す世間知らずの母親。継父に痛めつけられる息子を庇いきれなかったし、母親自らの寿命を逸するのが哀しい。ちやほやされる美人だけに外貌に騙されやすいのかもしれない。子供は子供なりに将来を案じ、自己防衛を考え、わずかな血縁を頼るのが切ない。誰にでもある感情の細かい揺らぎを描くディケンズの面白さ。それにしても「継父」の暴力問題はいつの時代でも許せない。
2021/07/31
TSUBASA
ディケンズの半自伝的作品。父なしの子として生まれたデイヴィッドは母の再婚相手のマードストンとその姉にこっぴどくいじめられる。厳しい学校に入れられたり、丁稚奉公に出されたり、苦境の中を生き抜いていく。なんとも渡る世間は鬼ばかり。時代的に子供が大人に守られることなく劣悪な環境にさらされることは今よりずっと珍しくなかったんだろうな。それ故に母クララや乳母ペゴティの深い愛情などに触れると人間捨てたもんじゃないと思えてくる。1巻はマードストン姉弟をやっつけた伯母さんの男気にやられました。
2019/05/13
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