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背徳者 (新潮文庫 シ 2-1)

背徳者 (新潮文庫 シ 2-1)

背徳者 (新潮文庫 シ 2-1)

作家
ジッド
石川淳
出版社
新潮社
発売日
1951-12-01
ISBN
9784102045015
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背徳者 (新潮文庫 シ 2-1) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

ジイド1902年の作品である。 道徳観が欠落し ひたすら独白を続ける 古典学者ミシェルのひどく 観念的な考えが印象的な本である。 妻マルスリイヌを愛しながら、背徳の行為を 繰り返すミシェルには 全く共感を 覚えない.. ジイドはこの本で 自分自身の苦悩を 表そうとしたのだろうか? マルスリイヌの清冽な存在感とは 対照的に ミシェルへの不愉快さだけが 残る、そんな読後感だった。

2017/06/11

新地学@児童書病発動中

ノーベル文学賞を受賞した仏の作家ジッドの長編。古典学者のミシェルはアフリカで重い病気から回復した後に、自分自身や社会の在り方に疑問を感じるようになる―――。題名から、主人公がキリスト教的な社会に反発して、背徳的な喜びにのめり込むのかと思っていたら、それほど単純な物語ではなかった。ミシェルは内省的な人物で、絶えず自分の生き方を自問自答している。その心の揺れがこの物語に深みを与えている気がした。当然ミシェルにはジッドの生き方が反映されているのだろう。(続く)

2015/07/23

うらなり

96/G1000 読み進めるうちに『背徳者』というタイトルが馴染まないと思っていたら、第三部になって急変する。絶対安静の妻マルスリーヌを放浪癖のあるミシェルは、折角高地療養で快復しつつある妻を灼熱と砂塵のアフリカへ向けて連れまわし、死に至らしめてしまう。マラセリーヌは夫に祈って欲しかったがミシェルは頑なに拒み、喀血する妻を置いてモクテルに誘われ、女遊びに行ってしまう。ミシェルは献身的な男だが自分自身にしか献身しなくなってしまったが、考えてみたら自分もそうではないかとおもわされる。

2023/10/28

みも

正直言って全く面白くない。タイトルにも見られるように、主眼はあくまで道徳感の崩壊。ミシェルの一人称で語られる。妻が結核を患い、死に瀕しているさなか、看病をも投げ出して少年との性的関係を持っていた事を告白する。直接的な表現は避けているものの、胸の中がぞわりとするような不快感が肌に纏わり着く。ヨーロッパ、北アフリカの様々な国々、地方、都市が登場し、情景描写に詩的な美しさは感じられるが、僕には地理的知識が無いのでせめて地図が欲しかった。これらの地方に馴染みのある人は、風景を思い描けて多少は面白みを感じるかも…。

2016/06/24

kasim

献身的な妻を(一見)労わりつつも己の快楽の追及に流されていく男の告白記。普通に見るとダメな人だが、マグレブが背景のせいか、どこかドライで、自意識の陳列も日本の私小説ほどしつこくないし、詩的な表現が美しい。でも悪ぶりが半端なので、突き抜けすぎた『異邦人』よりむしろ読者に嫌われそう。自然や野性がよい、と頭でっかちに考えるのはロレンスやフォースターなど、この時代ぽいなあ。

2017/02/05

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