地の糧 (新潮文庫 シ 2-5)
地の糧 (新潮文庫 シ 2-5) / 感想・レビュー
アムリタ
40年近く再版されていなかったジッドの「地の糧」が新潮文庫からヨルシカとのコラボレーション限定カバーと共によみがえり異例の売上げとのこと。 それはそれとして、全編を貫く散文詩は、 「頭の学問を止めよ」 「平和な日を送るよりは、悲痛な日を送ることだ」 「周囲を捨てよ、君の家庭、君の書斎、君の過去ほど危険なものはない」 と続く。 欲望と快楽、本能の讃美の書。 そこを突き抜けた先にジッドが求めたのは意外にも、本来無一物という禅の境地に限りなく近いもののように感じられた。 読み終えてまだ眩暈に似た感覚のまま。
2023/07/07
taku
若いジッド君、情熱と欲望を溢れさせる。そして放浪してる。掴める思想はわかりやすいけど、それ以外の抽象表現部分が読み解きづらくしてるな。リリカルでポエティックに、少なからずナルシシスティックなのだと思う。語りかけていることは、本や他人の思想で固定されてはいけない、外に出よ、欲望を発散し、自ら求めよ、世界に触れよということだね。気になった言葉「大切なことは君の眼差しの中にあるので、見られたものの中にはない」 。『星の王子さま』の「大切なものは、目に見えない」と較べてみる。
2024/07/05
孤島天音
ところどころに出てくる果実や音、情景の描写がインスピレーションや郷愁、希望、、、(うまく言葉にできない感覚)を引き出してくれる。そしてこの感覚はこの本に書いてあるように「この本を捨てて」外に出ないと真に味わえないかもしれない。実際に本を捨てる勇気はないけど、もっと外に出て、自然界の色々なものを通して得られる感覚を求めてみるのもいいかもしれない。
2023/07/30
ハルト
読了:◎ 何度もくり返し読みたくなる書。詩的な言葉がするすると、流れこむように身体に浸透してくる。青春の書であり、欲望の書でもある。すべてに共感するということはないけれど、それでも、冬を越し春を迎えた植物たちが地の糧を養分として吸いとり、新たに目覚め、芽生え、成長していく姿は、若々しい青春を背負った一人の青年のことを思わせる。青年の経験に書は大いなる影響を残すからこそ、一読すればよく、あとは体感として青春を、欲望を浴びればよい。書物というのは欲望の疑似体験なのかもしれない。
2023/05/31
さり
内容的に学びがあっておもしろい 文体が本を読んだ人だったんだろうなって感じる。個人的に、、あまりすきじゃない
2023/07/28
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