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ロレンス短編集 新版 (新潮文庫 ロ 1-10)

ロレンス短編集 新版 (新潮文庫 ロ 1-10)

ロレンス短編集 新版 (新潮文庫 ロ 1-10)

作家
D・H・ロレンス
David Herbert Richards Lawrence
上田 和夫
出版社
新潮社
発売日
2000-08-01
ISBN
9784102070130
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ロレンス短編集 新版 (新潮文庫 ロ 1-10) / 感想・レビュー

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mt

チャタレイ裁判で有名になったロレンスは、様々な性描写が溢れている今日の小説を見て苦笑いしているかも知れない。「チャタレイ夫人の恋人」に官能小説のレッテルを貼られたのは気の毒だったが、本編では違った意味の官能を見せている。ロレンスが描く官能は、男女間のものだけに止まらず、心のひだに触れる感覚を生々しく表現することでもあるようだ。差別的と取られそうでここに引用しずらい、性とは別個の官能表現があるのだが、性描写を含めた斬新な感覚的な描写を、一世紀も前に、ごく自然に表現し得たのがロレンスであったのだろう。

2015/09/21

A.T

ロレンスの前期、中期、後期のそれぞれの作風が満遍なく読めるセレクト(翻訳 上田和夫さんのあとがきより)の13編。最後の長編作品「チャタレイ夫人の恋人」と同時期に書かれた「太陽」、第一次大戦中に書かれた中期の作品「博労の娘」の肉体と精神のバランスが微妙に揺れ動く描写が微に入り細に入る。あまりにあけすけなので、文豪T.S.エリオットから無能者扱いをされたらしいが、そこまでされても我が道を追求する探求者ロレンスの瑞々しいエッセンスを感じられた。

2017/06/18

ぺったらぺたら子 

マンスフィールド読んだので「微笑」のみ再読。不倫が止まらぬ夫と言えば悪と勝手に決められているがものには原因や理由というものがある。さて修道院で死んだ妻を訪れた夫。妻は死して尚、彼に復讐を挑む。それは皮肉極まりない「厳粛な哀しい場で半笑いにさせる刑」なのであった!そしてそれはまた、不実な夫への赦しとも言え、また皮肉な作風を得意とする作家の最後っ屁でもあった。「俺の罪は俺の罪ぢゃ。赦してなんかいらんわい」と逆らう夫。死しても愛の元に夫を屈服させずにはおかない妻。私は「回想のブライズへッド」の母子関係を想った。

2017/08/24

空飛び猫

夫婦、恋人… 男女の触れ合い、すれ違い

2016/05/15

xino (qiao109)

 題材が非常に面白い。木馬に乗ると競馬の勝ち馬が予想できちゃう坊やの話、女たらしの男に対して女たちが復讐、袋叩きにする話、などなど。編訳者のセレクションがいいのかもしれない。心理描写がとてつもなく上手い。善悪の境目なく自在に揺れ動く心を描いていて、心の中にもやもやした矛盾を孕みながらも情念で極端な行動に突き進んでしまう登場人物が、男女問わず多い。みんな感受性がするどい。それでもしぶとく、ずるく生きているのだから圧巻です。ナイーブな現代人も、これくらい筋力つけて生きたほうがいいのかもしれない。

2009/10/06

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