絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫)
絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫) / 感想・レビュー
だんぼ
もう五年間オフィス生活に耐えてきました。また、いろいろな人たちと無駄な時間を浪費してきました。ぼくは彼らの話を聞くために努力しました。しかし、いくら努力してもぼくはそこにいませんでした、他のとこにもぼくはいませんでした
2023/10/13
ehirano1
読み始めて直ぐはあまりのネガティヴぶり、というか完全無欠のネガティヴな姿勢に爆笑でしたが、ページが進むにつれこれは単なるミスター・ネガティヴの話ではないということが思い知らされました。これはもう一種の哲学に分類できるのではないかと思った程でした。一方で、カフカは最後の最後までカフカとして生を全うしたことにある種の尊敬の念を覚えました。
2023/09/04
こーた
ネガティヴも突き抜ければ底が抜けて明るい光が差してくる、なんて生易しいものではない。カフカは絶望の底の地下室の、さらに奥深く隅っこで、横たわってじっと動かないのである。未来にも世間にも、仕事にも家族にも自分自身にも絶望して、その絶望をエネルギーに換えて小説を書いていく。カフカに比べたらぼくの悩みなど、ずっとちっぽけだ。その絶望に笑い、なぜか勇気が湧いてくる。ネガティヴだっていいじゃないか。そうだ、ぼくに必要なのはポジティヴになることではなかった。ダメだ、まだ足りない。もっと絶望しなければ!
2018/09/11
KAZOO
これは面白い人生訓です。あの有名なカフカでさえも落ち込んでいたようなときがあってボヤキなどの連続が書かれています。本当にこのようなことばかり言っていたのかと思うくらい、様々な言葉が並んでいます。このような言葉を読んでいると、彼がどのような作品を書いたと気に入った言葉なのか知りたくなり、カフカの作品をまた読んでみたくなる気がします。
2015/09/23
ケイ
絶望名人なんてタイトルは失礼だろうと思ったのは読む前のこと。そのネーミングも含め、これは訳者且つ編者の名人芸である。カフカの文章の中から数行をボケとして抜き出し、絶妙な小題をつけ、自分の解説で突っ込むのだ。思わず吹き出してしまうほどの自虐的語りのカフカだが、唯一笑えなかったのは父に対する手紙の内容。彼にとって父は毒親であったのだろうが、自分の駄目な原因のすべてを父のせいにするという恨み節。そばにこういう人がいたら、背中をバンっとはたいて、グダグダ言わない!って言ってしまいそうだ。
2016/07/06
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