センス・オブ・ワンダー (新潮文庫)
センス・オブ・ワンダー (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
レイチェル・カーソンの遺作。まずタイトルがいい。しかも、内容はまさにタイトルそのままである。甥のロジャーとともに経験した自然の様態はいずれをとっても不思議と驚異に満ちている。月を背景にした渡り鳥の帰還などは、まさに神秘的ともいえる体験だっただろう。森そのものや苔、地衣類の匂いもまたそうだろう。そして、耳をすますことで得られる様々な鳥たちの声。それは大江健三郎のいくつかの作品に描かれる、長男ヒカルの物語にも呼応する。そして、末尾のカーソンの遺言めいた言葉も真に示唆的である。
2024/06/22
やすらぎ
子どもたちは、いつも生き生きと新鮮で美しく、驚きと感激に満ちあふれている。大人になると、澄みきった洞察力や畏怖すべきものへの直感力が鈍り、失ってしまう。センス・オブ・ワンダーは、その感性を蘇らせてくれる。…自然の音に耳を傾けるだけでも、星の灯りを探すだけでもいい。…ほら幼木があるわ。リスのツリーにちょうどいい。こっちはもっと小さいから虫たちのツリーだ。足元を見て歩かないと踏んじゃうよ。…虫の音が聴こえてくる。演奏が終わる頃に冬がやって来る。…生命の輝き。自然に沈黙はない。レイチェル・カーソンのメッセージ。
2021/09/23
はっせー
この本はレイチェル・カーソンさんと甥っ子のロジャーが自然との対話をまとめた本になっている。まるで詩のような美しい言葉でまとめてあり、読んでいて風景を想像できる。草花の綺麗さ。昆虫の不思議さ。自然の摂理。今の私達現代人に足りないのは、情緒ではないかと思う。道端に咲く花に気づく情緒が養えていない。だからこそ自然と対話することなく、自然を破壊してしまう。題名になっているセンス・オブ・ワンダーは、神秘さや不思議さに目をみはる感性と訳されています。私は、自然美と人間美の接合点にセンス・オブ・ワンダーがあると思った!
2021/09/06
シナモン
移ろう四季、自然の摂理、そこには驚きと神秘が満ちている。読んでるうちにじーんとして知らず知らず涙が滲んだ。自分が地球という星に生まれた奇跡に感謝。いつも小鳥たちのコーラスに耳をかたむける心を忘れずにいたい。
2024/10/02
やっちゃん
エンタメに溢れた現代はそれを消費するのに大変で、もっと原始的な楽しみがあることを忘れていることに気付かされる。縁側に座って周囲を観察したりぼーっと自然の音を聴いたりしてみようかな。おじいちゃんみたいだけど笑。
2024/09/03
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