獄中記 (新潮文庫)
獄中記 (新潮文庫) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
作者が男色の罪により有罪になり、獄中で恋仲のダグラス卿に自分の思いの丈をぶつけた書。これを読むと、ダグラス卿がいかにひどい人物だったかよく分かる。ワイルドの財産を浪費し、彼がインフルエンザで寝こんだ時に、全く世話をしなかったのだ。当然ワイルドの強い怒りが書かれているのが、同時悔恨と生の悲哀が、彫琢された言葉で表現され、読者の胸を打つ。獄中での内省を経て、ダグラス卿を許すと記すワイルドは世紀末の寵児ではなく、愛と許しを知った成熟した人間に生まれ変わっている。困難に直面した時に本書を読むと励まされるだろう。
2016/08/26
アーチャー
獄中記は数あれど、これだけ読み継がれる獄中記は稀でしょ?
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