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異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

作家
カミュ
窪田 啓作
出版社
新潮社
発売日
1963-07-02
ISBN
9784102114018
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異邦人 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

学生時代以来の再読。1940年に書かれた作品だが、今も十分に現代小説としての輝きを失っていない。それだけ小説としての自立性、屹立性が高いのだろう。ムルソーが引き金を引く直接の契機となった太陽の光と共に、乾燥した風や海など、アルジェリアの風土感もまた作品の固有性に寄与している。また、これまでなんとなくムルソーは主人公の名前だと思っていたのだが、それは姓であり、ついに名前が語られることはない。そうしてみると、彼の異邦性は外界に対するものであると同時に、自らの存在自体にも向けられていたということになるのだろう。

2012/12/08

zero1

この作品は、多くの人が誤解しているのではないか。主人公ムルソーがしたことを思い出してほしい。被害者となる男に向かって銃を一発放った後、間を置いて四発撃っている。殺意があったということを意味している。日本ではひとり殺しても死刑にならないが、重い罰は避けられない。それを不条理というのなら、自分の家族が殺された時にも同じことを述べるのだろうか?しかも、この殺人犯は自分が人を撃って殺したことを恐れてない。恐るべき人物だ。太陽に大きな意味はない。彼がしたことを考えれば、この作品は不条理などではない。

2018/10/17

ehirano1

数十年の時を経て再読。昔はサッパリわからず、ムルソー?は?何だコイツは?くらいだったのが、今ならわかる、なんとなくですけど。不条理、そう、常識と言う名の不条理、否、社会の内在的論理である不条理。これを具体化し、その不条理に抗ったのがムルソー。不条理に抗うことで不条理をより具体化(≒イメージ化)した手法は流石としか言いようがありません。本書が名作たる所以が今頃ではありますが、少しでも感じ取れたのは僥倖でした。

2023/05/13

mura_ユル活動

物語は周囲から異質な者と見られ死刑の確定された、ムルソーを中心に進む。難しい読み物とずっと感じていたが、読んでみるとシンプルでわかりにくくはなかった。ただシンプルなだけに奥の深さを感じたし、今読んでも、学びがある。また、重くも感じない。サラマノ老人のいなくなった犬がどうなったのか、気になる。図書館本。

2016/03/27

抹茶モナカ

何やら、僕自身が最近年老いて行く母親に殺意を感じる瞬間があったので、「殺人」について掘り下げたい気分になり、手にしてみました。もっと、主人公の造形が歪なのかな、と、思っていたのだけれど、古典的作品なのに非常に現代的人間像で驚きました。翻訳とは言え、乾いた文体も心地良かったです。読んでいるうちに、僕自身の今回の読書のテーマ「殺人」は本作では、その心理に迫る訳ではないのがわかったのですが、まあ、それはそれとして。真夏に読んだせいもあって、気分も小説世界に浸りました。ママンが死んだところから始まるのね。

2016/08/04

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