すばらしい雲 (新潮文庫 サ 2-5)
すばらしい雲 (新潮文庫 サ 2-5) / 感想・レビュー
優希
倦怠感漂う中編といった印象です。壊れた夫婦が痛々しい。相手が絶対であるアランと自分が絶対というジョゼ。この関係からして夫婦関係は破綻しているのが分かりました。夫に対する蔑み、憎しみ、哀れみを持つ日々はジョゼの愛のなさを物語っているようです。ジョゼの複雑な心境を中心にして紡がれた中には惰性的でありエゴイズム的でもある恋愛を感じました。『一年ののち』の後日談ということなので、まだ未読の『一年ののち』も読みたいと思います。
2016/03/12
SOHSA
《購入本》『一年ののち』に続き読了。全編に漂う緩やかな悲哀と虚無感は、ゆるゆるとどこまでも広がっていく。積み上げては崩し、崩しては積み上げることの繰り返しは、いたずらに時だけを消費していく。まさにそこには流れ去った月日があるだけなのかもしれない。何を欲し、何を求め、何を嫌悪していたのか。ジョゼもアランも、他の人々も。読後、昏い余韻が音もなく漂う。
2017/02/21
LUNE MER
ジョゼ三部作のその2。前作以降、ジョゼは渡米して米国人アランと結婚し、本作は平穏からほど遠い二人の夫婦生活を軸として展開。それにしてもこのアラン、ひたすら気持ち悪い。こんな男には絶対なりたくないと心底思うくらい、ジョゼへの執着心とか陰湿な行動とか身勝手さとか何もかもが気持ち悪い。ジョゼはジョゼで肩入れしたくなるほど好感度もないのだが、それでもジョゼに同情するくらい気持ち悪い、この夫。しかし、結局別れられたのかどうかハッキリしないラストなのだが、次作を読むと別れずにまだグダグダしているようだ。
2022/05/27
りっとう ゆき
嫉妬の激しい夫に悩まされる主人公。自由を求め、また諦め、時に幸福感を覚え、時に虚しくなり、自暴自棄になり。 それぞれの価値観で生きる人々が奇跡的に重なってまた離れて、という構図がみえて、読んでる方も振り回され、最後までぐらぐらした。
2022/01/08
koke
メロドラマのような展開の連続で何度も笑ってしまった。他の作品はこまでではなかったように思ったけれど。
2023/02/23
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