熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6)
熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6) / 感想・レビュー
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未来を思い煩わずに瞬間を楽しむ30歳の働かない女リュシール、彼女を優しく庇護する50歳の裕福な紳士シャルル、そこに現れた女と同年代の貧しい美青年アントワーヌ。リュシールは「悲しみよ、こんにちは」のセシルのその後かも。サガンは男に対して父親と恋人を同時に求め、更に堅苦しい所有欲や恩着せがましい態度を許さない。互いに驚くほど情熱的に焦がれ合う関係。でも苦労人のアントワーヌと怠惰なリュシールが合う筈は無い。それでも離れないのは身体と唇の相性。これ以外の人生は無理よと開き直った様に美学を解き放つ著者30歳の円熟。
2016/05/08
松本直哉
「人間はいつもやるべきことで溢れた人生をもっているような様子をしているが、あなたは人生から溢れ出ている様子をしている」というシャルルの言葉の通り、人生という枠にはめられることを厭い、非決定と怠惰と無頓着が身上のリュシルの、真面目で道徳的なアントワーヌと寛容で優しいシャルルの間で揺れ動く恋心。アントワーヌも悪い奴じゃないが、相手を占有しようとする欲望が強すぎて彼女をうんざりさせてしまう。いつでも戻っておいでと彼女を自由にさせるシャルルの度量の広さが印象的。原題 La Chamade は敗北を認める合図の太鼓
2024/07/21
背番号10@せばてん。
1987年10月10日読了。あらすじは忘却の彼方。
1987/10/10
noémi
ゲランのコンサルの時に、『シャマード』を勧められた。そのときにこの香水の名前はこの小説に由来すると教えられた。ものすごくフランス的なアンニュイな感じが漂う。たぶん若い頃に読んだなら、この小説に出て来る登場人物の気持ちはとてもじゃないが理解できなかっただろうと思う。人間はすぐに世間の常識をもちだして「こうするべき」みたいなスローガンを持ち出すが、しかしそうできない人間もいる。そして「永遠」の愛というのも嘘。やはりお金があるということは、それだけでかなり人を仕合せにもするのなのだ。あけすけではあるけれど。
2017/04/26
羽
☆☆☆ 「女心と秋の空」という言葉がしっくりくる作品。初老の男性シャルルに愛されている美しい女性リュシールと、金持ちの中年女性の若い恋人アントワーヌが出逢い、惹かれ合い、情熱的な恋愛をする。妊娠したリュシールは何かを「持つ」ことを嫌がり、アントワーヌも彼女以外を欲しがらなかった。この出来事の後、リュシールは再びシャルルの元へ舞い戻る。一緒に幸福になりたいと願うアントワーヌと、純粋にリュシールの幸福だけを願うシャルルの二人の間で揺れるリュシールの心は、まさしく秋の空。
2015/10/07
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