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冷たい水の中の小さな太陽 (新潮文庫 サ 2-8)

冷たい水の中の小さな太陽 (新潮文庫 サ 2-8)

冷たい水の中の小さな太陽 (新潮文庫 サ 2-8)

作家
フランソワーズ・サガン
Francoise Sagan
朝吹登水子
出版社
新潮社
発売日
1972-09-01
ISBN
9784102118085
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冷たい水の中の小さな太陽 (新潮文庫 サ 2-8) / 感想・レビュー

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みも

エスプリに溢れたパリが作り出す洗練された華美や喧騒と、田舎町リモージュの清澄な空気や静謐との対比。それは同時に、シニカルに世間を眺め退屈に倦んでいたジルと、永遠の愛を捧げる決意をしたナタリーの照応。畢竟、何も捨てない男と全てを捨てて情熱を寄せるブルジョア女の、決して溶け合う事の無い不毛な愛の帰結。ジルは自分にしか興味が無い澆薄な人間の典型で、軽薄で盲目で、自尊心だけが異常に肥大したエゴイスト。感情の機微に瞬発力があり絶妙だが、逆説的でレトリックな語彙選択は意図的な衒いを感じ、やや鼻につき感情移入を妨げる。

2017/07/21

LUNE MER

小洒落たフランス文学、が自分の中のサガンのイメージなのだが、正にその王道をいく一冊。一文一文がサクッ!サクッ!としていて、男女間の駆け引きもとにかく進展させる方向にスパスパ進めるベクトルの力強さを感じ、読みやすい。ある意味でプルーストの対極。現在の新潮文庫のサガンのカタログは僅か2冊のみ!新作が出るたびにタイムリーに邦訳されてはカタログに名を連ねていた作品群は殆どが廃版。何ゆえ?「悲しみよこんにちわ」に続いて新訳が続々刊行されるという流れなら歓迎なのだが。

2021/11/08

桜もち 太郎

久しぶりのサガン。やはりデビュー作である「悲しみよ こんにちは」に比べると8作目ということで新鮮味というか、インパクトは薄いような気がした。新聞記者で半エリート的な男が、当時流行していたノイローゼになり、姉の住む田舎へ行き、晩餐会で会った人妻に恋をするという物語。いわゆる夫から寝取る不倫ということだ。不倫作品が大好物の自分としてはまずまずだった。男の身勝手さ、女の大胆さがあっての話だが、サガンらしく繊細に軽く描かれている。古書独特の細かい文字が読みにくくて思いのほか時間がかかってしまった。

2022/09/03

ゆぽんぬ

未知の彼女はぼくのいちばん好きなかたち、 人間であることの悩みからぼくを解放してくれたひと、 僕は彼女を見、それから見失う、そして、 ぼくはぼくの苦しみを甘受する、 冷たい水の中の小さな太陽のように。

2020/11/21

傍から見ていれば最初から破綻に向かっているような不安定な恋。人生経験を積んだ大人の女性ナタリーとまだまだ遊びたい青年ジル。どうしてナタリーはジルに惹かれたんだろう、とかではなくそれが恋、理由などなく、ということなのだろう。物語の最後にあることを問われたジルは「そうです」と肯定し、この答えでジルはようやくナタリーのすべてを受け入れる覚悟をしたのだ。本当に最後の最後で。

2016/08/27

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