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愛は束縛 (新潮文庫 サ 2-24)

愛は束縛 (新潮文庫 サ 2-24)

愛は束縛 (新潮文庫 サ 2-24)

作家
フランソワーズ・サガン
Francoise Sagan
河野万里子
出版社
新潮社
発売日
1994-10-01
ISBN
9784102118245
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愛は束縛 (新潮文庫 サ 2-24) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

美貌で資産家の妻ローランスに見初められ、愛で束縛されたピアニスト、ヴァンサンは周囲からジゴロと蔑まれ、妻以外との交友も絶たれて豪邸に囚われる生活。 男女の関係が逆ならば、金持ちマダムの憂鬱、というような設定だけど、ヴァンサンの視点から描かれるその生活は息苦しく、読んでいるこちらまで息がしづらく苦しかった。 湿度がまとわりつく霧雨と灰色の雲の日々に似つかわしい読書。そしてやっぱりサガンの文章で描かれるフランスの風景は泣けるほど美しい。

2019/07/02

優希

息苦しさの中にも美しさがありました。資産家と売れない音楽家という夫婦の愛の形が蔑みから真実へと変わっていくのが残酷さと切なさを感じさせます。本当に愛するということは孤独の中に身を投じることというのが悲しみをも誘うようでした。濃密で甘美な調べの中に潜む寂しさが印象的です。

2017/05/05

Y2K☮

著者54歳時の作品。晩年の苦悩や悲しい恋の反映か、やや重いタッチ。「恋愛は7年以上続かない」というサガン哲学を体現する退廃的な作曲家ヴァンサン。彼を養う妻ローランスの望みは売れなくても芸術を追い続ける社会的に弱い夫。己の庇護下で好みに染め抜ける美しいペット。成功して富を掴んだヴァンサンが自立を願うと彼女は資産家の父と共に卑劣な策を巡らす。これが愛? 何事にも執着しないサガンはこういう粘着質なエゴを嫌った筈。愛は束縛とはローランス側の見方。そして見返り(=己の喜び)の為にだけ他者を愛せる人々への著者の揶揄。

2016/02/21

桜もち 太郎

サガンにしては長めの作品。作曲家であるヴァンサンと妻であるローランスの物語。7年の結婚生活、ローランスがヴァンサンを金銭的、精神的、肉体的に縛り付ける。そこには虚栄心、エゴイズム、欺瞞が彼女の支配欲で上塗りされている。ヴァンサンもそんな生活に慣れてしまい、ある意味怠惰な生活を送る。しかしそんな生活から逃げ出したいという気持ちが根底にある。終盤二人の魂のぶつかり合い真実の愛を摸索する。愛に飢えた二人の結末は衝撃的で悲しい。官能的描写はないが、濃密かつ流れるような文体が良かった。愛と金どちらも大切なんだよな。

2024/09/28

圓子

窒息しそう。ヴァンサンとローランスを理解するにはまだ子供過ぎるのかもしれない。恐ろしくも愚かしい、が、やはり美しいな。物語として楽しめるのは渦中にいない者の特権だ。5年くらい前だったら平静でいられなかったかも。

2016/09/07

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