逃げ道 (新潮文庫 サ 2-27)
逃げ道 (新潮文庫 サ 2-27) / 感想・レビュー
momogaga
サガンの笑いは皮肉が効いている。時代、場所、登場人物が生み出す悲劇的な要素は、最後にやってくる。しかし、それまではスノッブな笑いの数々がある。『悲しみよこんにちは』だけしか読まないのはもったいない限りです。
2018/08/07
LUNE MER
サガン晩年の作品。これまで「悲しみよこんにちわ」「ブラームスはお好き」「冷たい水の中の小さな太陽」の三作品しか読んでないが、いずれとも作風が異なる。ラストの3行をついつい何度も噛み締めてしまった。自由間接文と言えば真っ先に「ボヴァリー夫人」が参照されるが、そういうテクニックがあると知ってみると、本作においても多用されており場面の臨場感を実際に高めているのが分かる。突如陥ったマイ・サガンブームはしばらく続きそうである。
2021/11/10
SD
サガンの本の中では、初めて面白くなかったと感じた。ただ、駄作というわけではなく、単純に私と合わなかっただけなのだろう。個人的には、戦争における悲劇の結末と田舎での群像劇が全く関係無かったことに残念さを覚えた(敢えてそうして、戦争の理不尽さを表現したかったのだろうが)。 そして、あまり登場人物達の感情に共感できなかったことも、その本を受け付けなかった要因になる。『悲しみよ こんにちは』のセシルのように、魅力的な登場人物は皆無。無駄に人員も多く、ごちゃごちゃしててわかりにくいのも難点。訳の河野さんは良かった。
2021/07/07
caramel
サガン作品は初読み。読む前は自分には難しすぎたり、ついていけないかもしれないと心配していましたが、読んでみるとそんな事はなく、意外とシュールなというか、ブラックユーモアが感じられて驚きました。また登場人物も皆個性的で分かりやすかったのも良かった。そのお陰で退屈せずに読めたと思う。特に感動したり笑えるって程でもなかったですが、この時代のこういった世界観を感じられて楽しく読めました。
2021/04/14
ゆぽんぬ
戦時下のパリを脱出した上流階級の四人が、二転三転の末に農村で暮らす。サガンの小説で、初めてくすりとしたし、萌えもした。美しい文章はそのままに、こういう喜劇みたいな小説も書けるのね。だからこそ、ラスト2ページの残酷な衝撃が凄まじい。突然に悲劇となった。人生には、いくつもの分かれ道が在る。
2020/11/21
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