悪魔と神 (新潮文庫 赤 120D)
悪魔と神 (新潮文庫 赤 120D) / 感想・レビュー
Y2K☮
イプセン「民衆の敵」より更に悩ませる戯曲。目的を持たない「悪の為の悪」を成していたゲッツが賭けに負けた事で「善の為の善」に鞍替え。だが貴族と農民の私生児である彼は善でも悪でも孤独。民衆にとって支配者の思想などはどうでもよく、関心は己の利益のみ。ゲッツが免罪符の詐欺性を諭せば「救われたいのに邪魔するな」と怒り出す。富を分け与えられても有効利用できない。平等になっても支配者がいないと何もできず、争いも終わらない。結局善も悪も同じとゲッツは悟る。ならば生まれ持った役割を全うするのみ。これが実存主義の答えなのか。
2016/01/28
テツ
サルトルによる戯曲。思想劇。サルトルの戯曲で一番好き。道徳、信仰、社会的規範、善と悪。そうした物に問いかけ自問自答しながらも最後には自分の意思で自分で選択しなければならない。外部から取り入れた価値判断を捨てた世界の中で、自ら選択をする力を手に入れる為にはどうしたら良いのか。ずっとサルトルを読み続けているけれど未だに答えは出ない。「選びたまえ君は自由だ。つまり作りたまえ」 人間が実存主義の下で生きるためには悩み苦しみ、そして自らを絞り尽くすように延々と考え続けることを避けることはできない。
2013/09/19
ラウリスタ~
本当は人文書院の方。この戯曲もサルトルの真骨頂である思想劇。悪逆無道のかぎりを尽くした極悪人の将軍が、裏切るものがなくなったから「悪」を裏切ることにした。そのときから1年と1日彼が善行をなすことに成功すれば勝ちとなる賭けをした。将軍は神のもとで完全に服従に、愛を説くのだが・・・・・。無宗教の多い日本の読者にとっては必ずしも身近なテーマに感じられないかもしれないが、キリスト者にとっては究極の問題に真っ向勝負を挑んでいる。信仰を持っているのか無信仰か、悪か善か、といった人間の価値判断を超えた世界。続きはブログ
2011/01/19
connieneko
悪魔と神を読んだ時も同じタイプの興奮、、サルトルはこの戯曲が一番面白い、、というか他の本は全て忘れてしまったがこの本は今でも妙に覚えている、、
zamzam
学生時代に読んでた。
1984/08/02
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