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町でいちばんの美女 (新潮文庫)

町でいちばんの美女 (新潮文庫)

町でいちばんの美女 (新潮文庫)

作家
チャールズ・ブコウスキー
Charles Bukowski
青野 聰
出版社
新潮社
発売日
1998-05-28
ISBN
9784102129111
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町でいちばんの美女 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

巻頭の表題作を含む30からなるshort storiesを集めたもの。もともとがバラバラな媒体に発表されていたせいか、内容も様々。例えば表題作「町でいちばんの美女」のように、短いながらも本格的な小説もあれば、「15センチ」のような与太話めいたものもあるし、ブコウスキー本人が登場する私小説まがいのものもある。原文の文体はもう少し過激なのではないかと思われるが、訳文は大人しく品位を失わない(それがいいかどうかは微妙だが)。全体を貫流するのは、基底部にある希望を喪失した乾いたニヒリズムか。

2021/04/05

ケイ

もっとハードボイルドな話、もしくはトム・ジョーンズ的なハチャメチャさを期待していたのかもしれない。期待とは違った。どの短編でも、登場人物達はあまりに救いがなく、滅入るような日々を送っている。なのに、ほんとうに堕ちてはいかないのだ。どこかそんな自分をシニカルに見つめながらも、決して生きるのをやめようとしない。読み手のこちらも、あきれながらも愛せずにいられないようなダメな男たちの話に溢れている。

2014/10/22

蘭奢待

なんなんだこの作品は。すごい作家に出会ってしまった。訳も良いのであろう。無頼な雰囲気がよく出ている。通勤電車の中で開くのを躊躇してしまう過激な文章。作者、訳者はしてやったりと小心者の読者を笑っているだろう。

2019/07/30

えりか

人生は悲しみまみれだ。アルコールやセックスで、一時の快楽を得られるかもしれないけれど、永遠に癒されることのない悲しみ。とらわれてしまったら、きっともう逃げることはできない。悲しみを悲しみと考えない賢い生き方はできなくて、真っ向から悲しみと生きていくしかできない繊細な男たち。そこに一つの哀愁のような切なさと痛ましさを感じる。「悲しみの中に溺れながら性愛に耽る。」絶望の中で倦怠感に襲われながら、それでも生きていく救いようのないどうしようもない男たちに格好よさと愛しさを感じる。

2017/03/17

ずっきん

ど正面から、酒、女、セックス、糞、がなんのてらいも気取りもなく下品真っ向勝負で繰り出されてくる。元々のタイトルは『勃起、射精、露出、日常の狂気にまつわるもろもろの物語』ときた。けど、初っぱなの表題作でガッツリ掴まれてしまってもうどうしようもない。鼻を鳴らして「っとにもう、しょうがないね!」と他のも読んでいくんだが、このあけっぴろげの最低最悪の男(ブコウスキー)の愛くるしく切ないことといったら!ヘミングウェイも意識してたらしいけど、ウソでしょ? カッコつけないあんたの方が何百倍もマシさ!

2018/03/27

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