人間の絆 1 (新潮文庫 モ 5-1)
人間の絆 1 (新潮文庫 モ 5-1) / 感想・レビュー
Ryuko
モームの自伝的要素が強いといわれる作品。フィリップが母を亡くす場面から始まる。冒頭の文章がいい。「くらい灰色の朝が明けた。雲が重く垂れ下り、ひどく冷え冷えとして雪にでもなりそうだった。」牧師の叔父夫婦に育てられ、不自由な足にコンプレックスを持ち、それゆえの自負心が痛々しい子供時代。足が治るように必死に祈るが叶うわけもなく、信仰を失う。なんというか幼い思考だが、シャイさゆえに周りに適応できなかったり、コンプレックスゆえに横柄になったりというところは共感できる。運命の女ミルドレッドの登場を待たず1巻は終了。
2016/08/12
うらなり
父母を亡くしたフィリップは牧師である伯父のすすめで聖職者への道を歩み始めるが、自分の蝦足を神に祈っても治らないし、聖職者の欺瞞的な生き方に反発して学校を辞めて自分の道を模索する道を選ぶ。イギリスからドイツに遊学する下宿先でヘイウオードなどの友人ができて、ドイツは行動の自由はないが思想は自由、フランスは思想の強制をされるが行動は自由、英国はそのどちらの自由もないと彼に語らせる。当時の欧州事情が興味深かった。英国に戻り、20歳以上も年上のミス・ウィルキンソンと初めての恋愛模様も表現が美しい。
2021/06/25
彩
『月と6ペンス』を読んではまったモームの、自伝的長編小説ということで。自らの吃音というコンプレックスは内反足に表現を変えてました。不具ゆえの「普通」であることに対する嫌悪や「突出」した人への強い羨望が鮮明に書かれていて、若かりし彼は決して天才じゃなかったんだなぁと。本の終わりごろでやっと20歳ぐらい。次巻へ続きます(*´ω`*)
2015/01/21
R10
モームにはまった作品。4巻一気に読んだ。
2010/11/18
shishi
[A]古本で4冊セット400円で購入。古くて字が小さく読みづらいが、それを忘れさせるほどに面白い。翻訳はかの高名な中野好夫さん。さすが、読みやすい。でも“bondage”って「絆」って訳でいいの?モームの意図と、ニュアンスが違うような気がする。・・まあ、なんにせよ、字がくっきりした新しい版のが欲しい.
2009/11/07
感想・レビューをもっと見る