月と六ペンス (新潮文庫)
月と六ペンス (新潮文庫) / 感想・レビュー
zero1
天才を凡人は理解できない?なら凡人でいい。残酷と魅力は紙一重?モームの代表作。ロンドンに始まり、パリ、タヒチに舞台が移る。違いはいくつかあるが、ゴーギャンをモデルにしている点は間違いない。題名は夢と現実との解釈がある。簡単に書けば「酷く身勝手な男の物語」なのだが、小説として何故か面白く感じた。翻訳者の金原瑞人も書いているが、これぞ小説の力。人は何を目的に生きる?どこへ向かう?絵だけではなく生き方も理解できない男。女性がこうした男に魅力を感じるのは何故?再読すると別の解釈が頭に浮かびそうだ。
2019/01/30
ehirano1
読ませる、とにかく読ませる、これが名著である所以か?!「月」で直ぐに思い浮かべるのは村上春樹の1Q84。ストリックランドのメタが月なんでしょうか?
2022/08/13
サム・ミイラ
中学の頃からの友人は凄い読書家で勿論モームも読んでいた。ミステリばかり読んでいた私は「そんな本が何の役に立つ?」と小莫迦にした事を覚えている。だがそれは違っていた。読んでいれば女性というものをもう少し理解出来た気がする。探し続けぶつかり悩み分からなかった事への一つの答えがここにはある。愛と呼ぶ儚きもの。ここにこそ人間がある。孤独と叫びと生きる意味がある。読んでおくべきだった。いつか会うときがあれば謝ろう。きっと彼にはなんの事か分からないだろうが(笑)
2016/07/13
ykmmr (^_^)
著名すぎる画家、ゴーギャン。この個性的人物を小説のモデルにするとは。衝動的同士、ゴッホとの共同生活。同居解消後、タヒチて逃避。その人生波乱を淡々と細かく描きながらも、沢山の登場人物たちにしっかり手を加えて、混乱もさせる事なく、『人生』を書き上げた。絵画・小説・音楽。目に見えない物を形にする。その感性を浮き出させるという事。主人公は最期までそれに情熱をかけて生きた。自分の人生は納得出来ていたのではないか?
2022/03/18
Kajitt22
生まれる場所をまちがえた人々がいる。生まれた土地にいながら異邦人なのだ。終盤、この文章が現れたあたりから、魂がゆさぶられた。初めて目にした神秘的なモーレア島。緑深く、熟れた熱気を感じさせるタヒチの描写。私自身がその熱気に浸り、ストリックランドの最後に迫っている、知りたいと思わせる、素晴らしい読書体験でした。訳者、金原瑞人氏が書いているように、読み終えた途端、また読み返したくなる、まさにそんな小説でした。
2017/01/17
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