ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫)
ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫) / 感想・レビュー
のり
8作の短編。モームの傑作選と名打っているだけに全てが良作だった。あらゆる心理を色々な角度から光を当てたり、奥底の闇を炙り出したり、人間の業をまざまざと突きつけられた。激動のヨーロッパでモーム自身も苦難続きだったと思う。その中での才気溢れる視点に感服です。特に「征服されざる者」の意地と狂気、「サナトリウム」の時と命の重さが良かった。(^o^)
2017/07/23
マエダ
モームと金原瑞人さんの組合せは本当に面白い。短編集であり自分の好みは「アンティーブの太った女」と「征服されざる者」の二つである。
2016/06/27
星落秋風五丈原
モームの作品は小説家を目指す人にとってまさにお手本だ。性格だけでなく人物描写が実に詳しい。表題作 「ジゴロとジゴレットGigolo and Gigolette」はカジノで危険な芸を見せている夫婦が主人公だ。まず起承転結の「起」は、主人公の脇役達の描写から始まり、彼等の会話によって、まず外側から見た主人公―芸人夫婦が描かれる。次に「転」では、実際の芸の披露、「転」に当たる所で、夫婦をある人達と出会わせ、彼等の内面が初めて描かれる。そして彼等の選択に注目を集めた所で「結」という整った形をしている。
2018/08/22
はたっぴ
とても読みやすく読後感の良い短編集。それぞれの物語がありきたりではなく『月と六ペンス』のように個性的で、読み終わった後もパラパラと読み返してしまう。面白かったのは女性が主役の『アンティーブの三人の太った女』と『ジェイン』だ。男性目線の鋭い観察力と豊かな表現力で、痛いところを突いてくるなという感じ。読んでいて口元が緩みっぱなしだった。唯一、救いがなかったのは戦争の犠牲となった『征服されざる者』だ。モームの戦争への厳しい眼差しを感じながら読み耽った。読書好きにはたまらない〝楽しみ〟が詰まった一冊といえる。
2017/09/13
びす男
モームの観察眼が光る短編集。気まぐれを含んだ登場人物らの意思に、リアリティが感じられる。人間とは不思議なもので、それを型にはめることなくそのまま作中で表現している。随所でチクリと刺してくるようなユーモアが散りばめられているのも、面白い。滑稽で、真剣で、優しい。現実より、真実味のある物語が揃っている。
2015/11/09
感想・レビューをもっと見る