英国諜報員アシェンデン (新潮文庫)
英国諜報員アシェンデン (新潮文庫) / 感想・レビュー
巨峰
モームは実は第一次世界大戦でイギリスの諜報員をしていたそうな。そんな彼の実体験が十分に反映されたスパイものの古典。と同時に第一次世界大戦下における各国のスパイの日常や業務を調べるにあたっても、同時代的資料となると思う。(もちろん小説なので多くはフィクションではありますが)。大作家モームの作品ですから、多彩な登場人物やその土地の風物が生き生きとしっかりと描かれていて豊穣(それでいて冗長でない)、そして、やっぱり非情です。地味です。目立ちません。スパイですから。超お勧め
2018/10/04
Panzer Leader
実際に英国諜報員だったサマセット・モームの連作短編集。派手なアクションシーンがあるわけでもなく、さりとてル・カレのように厳しい世界を描いているわけでもないが、アシェンデンの沈着かつ冷静な観察眼による人物描写に重きを置いたリアル感溢れるスパイ小説。
2022/11/26
マエダ
かなりの部分が作者の実体験をもとに書かれているという本書。物語ももちろん面白いがどこと言えないような会話の切れ味がモームの魅力。金原瑞人さんとモームの組み合わせは本当に面白い。
2017/10/24
Kajitt22
人間観察の達人サマセット・モームによる『英国諜報員アシェンデン』。人物描写もそうだが、平易で読みやすい文章にふりかけられたアイロニーとユーモアのスパイスが効いている。主人公アシェンデンはモームその人だろう。第一次世界大戦を背景に揺れ動くヨーロッパをうまく切り取り描いている。最後、革命前夜のペテログラードの描写は圧巻の臨場感だが、そこに洗濯物がでてくるのがモームらしいと言えばいいのか。
2018/04/17
てら
『月と六ペンス』以来久しぶりのモーム。こんなに完成度の高いスパイ小説が1928年に書かれていたとは。どの章も「気になる書き出し」「エンターテインメントな展開」「あっと驚くオチ」がそろった、まるで小説の教科書のような一冊。キャラクターの濃度もすごい。文章がまたうまい!簡潔な表現に深みがあり、饒舌な部分は読んで楽しい。いくら褒めても誉め足りない一冊でした。読み終わるのが惜しい本に出逢ったのは久しぶり。
2017/09/09
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