郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)
郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
何度も映画化された物語の原作。 1934年の作品。サンドウィッチ食堂という 表現が時代を感じさせる。映画では 男と女の欲望剥き出しの映画という印象が 強かったが 原作では主人公フランクは 淡々と悪事をこなす。 もう少し艶っぽいはずの コーラという人妻も 抑え気味に描写されているのは 著者の 意図なのだろう。映画とは違う落ち着いた 名作だった。
2017/05/14
ゆいまある
どん詰まりの女とろくでなしの男が出会った。女からは発情したにおいがした。暴力的なセックス。乾いたキス。お互いの過去も知らない。未来も夢見ない。金も名誉も興味がない。ひたすら貪りあう。ろくでなし達は思い付きで女の夫を殺害する。何かが欲しかった訳じゃない。一緒にいたかっただけ。何もかもを失う。よくある話。たしかによくある話。だけど何の打算もなくただ惹かれあう。そこに心臓を持っていかれる。84年前の作品だけど、新訳はカリカリに乾いていて眠れなくなるほど尖っている。まだ読んでない人は読んで!
2018/08/25
hit4papa
流れ者の男が身を寄せた食堂。そこの女房といい仲になった男は、二人で旦那の殺害を企てます。すったもんだのあげく、女を手に入れ、順風満帆かとおもいきや ・・・ という、あまりに有名な作品。あらすじは知っていますが、読むと人間の心理の細やかな描写など、なかなかに感慨深いものがあります。男を魅了する女性を表現するのが巧です(大昔に観た映画版では、ジェシカ・ラングにときめいた憶えがあります)。結局、運命の女に出会って破滅!系の作品は好みということです。ただ、このタイトルの意味は何?という疑問は払拭されませんでした。
2018/09/14
扉のこちら側
2016年132冊め。【135/G1000】完全犯罪を目論むに至る動機はいかにも現実にもありそうなありふれたプロットだが、いかにもなアウトローによる語り口がこの作品を個性的に仕上げている。ハードボイルドの源流と言われるらしいが、どちらかというとカミュの『異邦人』を彷彿とさせる(実際はこちらの作品の方が古い)。叙述ものは犯人の心理の動きを楽しむ側面があるが、こちらはあまりピンとこなかった。良くも悪くも犯人二人が普通すぎるのがこの作品の味。
2016/02/28
雅
破滅へ向かう愛の物語。救いが無いんだけど、妙に残る。一気読みでした
2021/10/22
感想・レビューをもっと見る