カクテル・ウェイトレス (新潮文庫 ケ 3-2)
カクテル・ウェイトレス (新潮文庫 ケ 3-2) / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
ハメット、チャンドラーと並び〈ハードボイルド〉のスタイルを創り上げた作家の一人に数えられるジェームズ・M・ケイン幻の遺作。最晩年のインタビューで執筆に取り組んでいると語られたが原稿は行方知れず。編集者が10年に及ぶ探索の末、完成原稿を発見したという。DV夫が事故死し、息子との生活のために怪しげなカクテルラウンジで働き始めた21歳のブロンド美女。客として出会った初老の富豪と、ハンサムだが貧乏な青年から好意を寄せられ欲情と打算の間を揺れ動く。やがて事件が……。古典的な筋立てを一気に読ませる〈悪女もの〉の佳作。
2015/05/26
GAKU
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の作者が、1975年83歳という晩年に書いていた作品。長く日の目を見ることがなかった原稿を、本書の解説を書いているチャールズ・アルダイという方が編纂し、2013年に刊行されたものを、一年後の2014年に大好きな翻訳家田口俊樹さん邦訳で出版されたもの。幼い息子を養うためバーで「カクテル・ウエイトレス」として働いている若くてセクシーな未亡人、ジョーンの一人称で語られる物語。⇒
2017/05/18
Tetchy
よくぞ訳出してくれたとまずは新潮社の仕事に敬意を表したい。数々のファム・ファタールを描いてきたケインの最期の作品はその容姿と状況ゆえに図らずも悪女に祭り上げられ、マスコミや周囲の好奇の的とされる不遇な女性の物語。不遇な女性の立身出世のシンデレラ・ストーリーはケインの手によるとこんなダークな色合いに変わる。本書はそんな状況に巻き込まれた女性の手記の形で綴られている。果たしてこの手記はどこまで真実か?その目で確かめて本質を見極めた上で自身の考えで判断なされよ。そんなメッセージが込められているように感じた。
2014/12/21
優希
究極の2択と自分の人生の物語が描かれているように思えました。私が同じ立場になったらどうするか考えてしまいます。
2022/03/24
Panzer Leader
始めは女主人公の不幸な境遇に同情を感じていたけれど、読み進めるとこりゃ相当悪女だわ。一人称で書かれているためソフトに描かれているけど。 アール爺さんが哀れ。
2016/05/24
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