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その名にちなんで (新潮文庫)

その名にちなんで (新潮文庫)

その名にちなんで (新潮文庫)

作家
ジュンパ・ラヒリ
Jhumpa Lahiri
小川高義
出版社
新潮社
発売日
2007-10-30
ISBN
9784102142127
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その名にちなんで (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『停電の夜に』に続くジュンパ・ラヒリの第2作にして、初の長編小説。今回もやはりインドとアメリカの2つの文化を背負う人たちが主人公だ。今回は長編とあって、アショケ、アシマの第1世代と、ゴーゴリ、ソニアといった第2世代とが描かれる。そこには当然大きなギャップがあり、そのことが本編の主軸を形成している。ただ、前回の短篇集と比べると、短篇の方により凝縮度の高さが見られ、長編には幾分か緊張の弛緩が感じられなくもない。そうはいっても、最終章はしみじみとした余韻と、自分自身もこれらの時代を生きたかのような深い共感に⇒

2017/10/29

優希

再読です。改めて良質の純文学だと思いました。ゴーゴリと名付けられたことから、名前への違和感、両親の故郷であるインドと文化への葛藤が痛いほど刺さります。家族を愛してはいるけれど、広がっている距離も切ないです。自分の居場所を探すことほど寂しくて難しいことはありません。アイデンティティーを考えさせられる1冊です。

2018/09/13

NAO

二つの大陸につながる人生。貧しい庶民たちを悲哀をこめて書き綴ったゴーゴリという作家の作品に出てくる人々のように、その名を持つ主人公は、武骨に、一歩一歩人生を歩んでいく。丁寧に書きつづられていくさりげない日常とそこに交錯する思いは、優しい記憶のようになって、心の中に積み重なっていく。

2017/10/07

chimako

1968年、若い母の出産のシーンから物語は始まる。ベンガル人の夫婦は13000kmを飛びアメリカでの生活を始めたばかり。産まれる子の正式名は名付け親に任せる。愛称は父が付けた。その名は「ゴーゴリー」それからの32年間が淡々ときめ細かく事実を観察するように描かれる。むき出しの感情はガラス玉に閉じ込められ、例えば父親の急死でさえも読む者には遠く感じられる。主人公ゴーゴリーがその名の由来を聞く場面は静謐な驚きに満ちている。何故なら彼は「ゴーゴリー」という名前が嫌いだったから。ずっしりとした読後感。

2015/05/28

優希

とても良質の作品だと思いました。インドから移民してきた家族の話ですが、その中に潜んだ寂しさ何とも言えませんでした。成長するに従い、違和感を感じるようになるゴーゴリという名前、インドとその文化に対する葛藤から愛しているのに家族との距離が広がっていくのが切なくてたまりません。何気ない日常なのに両親の故郷がインドというだけでアメリカ人にもなれない気持ちというのをうまくすくっていると思います。2つの祖国を持つアイデンティティを考えさせられました。移民や二世という国籍に関するテーマは普遍のものがあると思います。

2014/09/14

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