優雅な生活が最高の復讐である (新潮文庫 ト 21-1)
優雅な生活が最高の復讐である (新潮文庫 ト 21-1) / 感想・レビュー
ケイ
フィッツジェラルドの「夜はやさし」のモデルとなったマーフィー夫妻へのインタビューにより書かれた。優雅な生活を垣間見ているような読書。お金持ちであるがゆえの退屈はよく描かれているテーマであるが、彼らは恵まれた生活を普通に楽しんだ。彼らに南仏で出会い、魅入られたのがフィッツジェラルド。生まれながらのお金持ちではない彼は、彼らに憧れ、果てには嫉妬し、滅んでいく。反対に夫妻の横でともに楽しんだヘミングウェイやピカソら。大恐慌前のアメリカのお金持ちがなし得たきらびやかな生活と人脈は、今となっては痛々しいほどだ。
2016/03/22
えりか
フィッツジェラルドの『夜はやさし』のモデルとなったマーフィ夫妻の話。といっても自身と混同しているので『夜はやさし』の自己破壊的なとこはフィッツジェラルド夫婦。マーフィ夫婦の生き方には感銘を覚える。優雅に生活することで、厳しい現実への復讐をする。どんなに辛い現実が襲ってきても自分たちの独創性や優しさで乗りきる。確かに裕福であったからできたことかもしれない。でもそれは問題ではなくて彼らの精神の豊かさが人を魅了して止まなかったのだと思う。フィッツジェラルドはそこに憧れとともに妬みからくる憎悪を感じていたようで。
2017/06/12
harass
フィッツジェラルド『夜はやさし』で主人公夫婦のモデルになった実在の上流階級夫婦に聞き取りをしたノンフィンション。1920年代のフランスの芸術家文化人との交流など。正直この小説を読んでないのでいまいちピンとこなかった。または簡潔な言葉のスタイルのせいかなのかもしれない。良い題名だが。非常に安く手に入れたがAmazon中古でのプレミア価格に驚く(三千円以上していた)
2016/03/17
どぶねずみ
タイトルはスペインの諺で「誰かを復讐したいと思うくらい憎く感じるなら、そんなヤツのことは忘れて、自分が幸せになる努力をしよう」という意味だ。これはフィッツジェラルドが『夜はやさし』のモデルにしたマーフィ夫妻についての話。華やかな交遊関係や暮らしぶりは今で言うセレブ、1900年代初めの写真が鮮明に残っている。ジェラルド・マーフィは「人生のじぶんでつくりあげた部分しか、ぼくには意味がない」という言葉から伺える、きっとその瞬間を精一杯生きたんだなと。人を恨むのは馬鹿馬鹿しい。自分のことに精一杯時間を使いたい。
2018/06/18
コニコ@共楽
ヘミングウェイの『移動祝祭日』を読んで、フィッツジェラルドとの書簡集があることを知り、その書簡集から、この二人と交流があったマーフィー夫妻の本があることがわかり、この本にたどり着いた。原題は『Living Well Is the Best Revenge』、邦題は『優雅な生活が最高の復讐である』。living wellを優雅な生活と訳しているところが粋だ。翻訳は青山南氏。マーフィー夫妻はお金持ちではあったが、お金があれば彼らのような生活ができたわけではなく、実に魅力的な人物であったことがわかる本だ。
2022/04/29
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