ダーシェンカ (新潮文庫 チ 6-1)
ダーシェンカ (新潮文庫 チ 6-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
著者のチャペックは「ロボット」という言葉の考案者として名高いチェコの作家だが、『園芸家12カ月』などエッセイストとしても多くの読者を持っている。本書は、そんなチャペックの生れたばかりの子犬の観察記。いつもながら、生きる者への情愛にあふれた筆致だ。ことに子犬との別れ(他の家に貰われてゆく)を描くエンディングが、さりげない中にも一抹の寂しさをたたえ、犬好きの誰もが共感するだろう。ちなみに、この子犬ダーシェンカは、ワイヤーヘアード・フォックステリアなのだが、当時流行の犬種だったらしい。
2013/05/15
NAO
【戌年に犬の本】ワイヤーヘッド・フォックステリアの子犬が産まれてからもらわれていくまで。その間の子犬の様子が、動物の話をたくさん書いている作者ならではの観察眼で詳細に記されていくのだが、そこに子犬への溺愛ぶりが加味されていて、なんともほほえましい。もらわれていく子犬のための八つのお話も、母性(父性?)にあふれている。それに、なんといっても、作者自身の挿絵が可愛い。ダーシェンカに対する愛情いっぱいの本。もらわれていったあとは、本当に寂しかったことだろう。
2018/05/29
meg
なんてかわいい本なんだ!カレル・チャペックのまなざしはやはりやさしいよ。
2024/09/13
KI
世界に平和と混乱をもたらすのは結局こいぬだよね。
2019/07/08
kochi
生まれたときは、手のひらにかくれてしまうほどちっぽけな白いかたまりのだったダーシェンカ。チェコの作家、チャペックによる絵と写真と文章によって小犬のダーシェンカをとらえたおとぎ話と絵本のような小品。プロではないが、味のある線で、生まれたばかりの丸っこい輪郭の小犬の絵がいい。元々は一冊の本だったという『小犬の生活 ダーシェンカ』と合わせて読むのがオススメ。戦前の本なので難しいかもしれないが、オリジナルをいつか読んで見たい。
2019/03/24
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