孤将 (新潮文庫)
孤将 (新潮文庫) / 感想・レビュー
鐵太郎
言わずと知れた現代の韓国の英雄。しかしその姿はあまりに悲惨。日本軍と、朝鮮の王室と、明国という三つの敵を持ち、祖国のために空しく戦った孤独な将としての李舜臣を、暗いトーンで綴った一代記。こんな人でも英雄として立てねばならない韓国って、なんだか可哀想。(笑) 翻訳は北朝鮮から帰国した蓮池薫氏。李舜臣の伝説をリアルに描こうとしたものとして貴重な一冊だけど、いろいろな意味で重いね。
2010/06/12
yamakujira
韓国人が描いた李舜臣の物語だから、暴虐な日本軍を討つ英雄譚かと思いきや、タイトルのごとく孤軍奮闘する孤独な将軍の苦悩をえがき、戦闘を重ねる日々なのに静謐な物語だった。秀吉の企図した朝鮮出兵は愚の骨頂だけれど、国土を蹂躙されながらも権力闘争を続ける朝鮮朝廷や、援軍なのに掠奪する明軍も、これまたひどい。「彼らがなぜわれわれに敵意を抱いているのか、私にはわからない」という李舜臣が述懐に胸が痛む。でも、李舜臣に対する王のふるまいを知ると、彼は戦死したからこそ英雄になれたのかもしれない。 (★★☆☆☆)
2018/09/21
BIN
李舜臣の物語。タイトルどおり本来なら味方である朝鮮王からもなぜか信頼されず、殺されかけた弧将。まずこの本を読むには李舜臣を知っておく必要があるので、知らない人はまず最後の付録から読んだほうが良い。私は全然知らなかったので話が飛んだりするとさっぱりわからなかった。知っている人にとっては李舜臣の内面や悲惨な日常生活が描かれているので良いのかもしれないが、この本で知ろうと思った人にとっては全く面白くないかもしれない。
2011/09/18
みなみ
1592年あたりの李舜臣の大活躍を期待して読むと、そういう話ではないことはすぐに分かる。ただひたすらに李舜臣の内面から描写していくので、本文を読んでいるだけでは政治的背景もよくわからない。人物紹介にもたくさんページが割かれているが、ずっと出てきて物語として印象に残る人物は3、4人くらいだった(^_^;)「わかりやすいおもしろさ、爽快さ」ではない物語。味噌や魚、食べ物の描写が印象に残る。あと、王様が酷い。免死帖をよこすって何ソレ?この王様だと李舜臣は生き残ってても粛正されそうだと思った。
2018/06/24
ネロ
ようやく読了しました。 時間がかかったのは、漢字の韓国語読みが覚えきれなかったためです。 最初の方はルビが入っているのですが、見慣れないものはルビが消えると「あら、なんだったかしら」という状態に 日本語読みしようとすると、時々ルビが復活するので、脳内のイメージがぼやけちゃうんです この辺のこだわりは捨てられなかったので(^^;がんばって韓国語読みで通しました。 韓国では有名な武将李舜臣の、史実を元にした小説ですが、まさにタイトル通りの「孤独な将軍」でした。 豊臣秀吉の朝鮮出兵のお話で、読む前
感想・レビューをもっと見る