暴力の教義 (新潮文庫 テ 24-1)
暴力の教義 (新潮文庫 テ 24-1) / 感想・レビュー
ケイ
父親は息子と知らずに行動を共にする。息子は、父を憎んでいる。しかし、二人は殺し会うことなく、特に父は息子を無意識に助けながら、話は進む。二人が同時にいる時には、父親と息子は…と、書く著者のやり方で、こちらも二人か関係に注視せざるを得ない。100年前のメキシコの歴史も知るいい機会となった。
2013/11/14
ぽてち
2010年に発表され、日本では2012年に翻訳刊行されたテランの6作目。犯罪者の父親と連邦捜査官の息子の確執(父親はとうの昔に家族を捨てているため、息子だと気づいていない)をメキシコ革命間近に配置し、緊迫した展開のサスペンス……のはずだが、なんだこのつまらなさは? 自分の状態の問題かとも思ったが、読メでの評判もあまりかんばしくないので、やはり本書に問題があるのだろう。本編終了後に映画化についての言及があるが、もしやそのせいか?
2021/08/03
Satoshi
「音もなく少女は」の次に書かれた作品。比べるのも良くないが、前作の感動は得られない。殺人鬼の父親と捜査官の息子のロードムービーなんだろうが、父親の経歴と言動が合わず、違和感ばかりだ。衝動的な殺人を繰り返す人物が本質を捉えた発言をして欲しくない。親子の和解も成り行きにしか感じられず、良い感想を書けない。
2024/07/06
魔魔男爵
四作目までで書きたい事を書き尽くし、魂の抜け殻となった作者が、戦略上の実地適合性を求めて書いた作品。現代舞台ではもう書きたい事ないだろうから、書くのなら未来を舞台にしたSFだろうと思っていたが、本書は過去の時代を舞台にした新境地。メキシコ革命(1910年)に興味がある人は是非読んで下さい。前作までがジェンダーハードボイルドノワールミステリとして素晴らしかったが、本書は父と息子の確執というよくある話。ホモでもない男同志の話は古臭いざんす。作者は覆面作家で女性疑惑も浮上しているが、前作までなら女と私は推論する
2017/07/12
tom
「音もなく少女は」は、かなり良かった。で、この本を買ってきたのだけど、かなりしんどいというか、読み進めるのに時間ばかりかかってしまった。残念ながら、面白くない。訳者田口俊樹(この人は、なかなか偉い人だと思う)の後書きによれば、難解な文章で翻訳が大変だったとのことだけど、「音もなく少女は」の方は、抵抗感なく読んだのだから、文章が難解というよりも、内容が面白くないことの方が問題なんだろう。まあ、人殺しをなりわいにするような父親が息子愛に目覚めるというストーリーにどこか無理があるんだろう。
2012/09/24
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