飛ぶ教室 (新潮文庫)
飛ぶ教室 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
もうすぐクリスマス。寄宿学校の生徒たちは久しぶりに会える両親を思い幸せに浮き足立つ。 イヤな上級生や実業学校生との対決、劇の練習に大好きな禁煙さんと道理さん。少年たちの世界は日々波乱万丈。彼らはそれぞれ悩み考え、答えを導きだす。 甘ったるいケーキのようでなく、深い悲しみと不幸のある子ども時代があったからこそ優しくもできる。自分の中のひそやかな悲しみをいつまでも忘れずに、悲しんでいる人にそっと手を差し出すことのできる大人になりたい。少年たちの勇気と優しさに微笑んで、少し泣いて、あたたかなクリスマスを想う。
2018/12/14
ケイ
優しい人は、さりげないのだと思う。自分の芯をしっかりと持っている人なのだと思う。ツラさや過酷さを、ユーモアをかぶせて乗り越える強さがある人だと思う。【エーリヒ・ケストナー】この作家のことだ。クリスマスに何を読もうかとの呟きに、すかさずこれをすすめてくれた読友さんに感謝。どの行にも、暖かさと思いやり、子供を見守る優しい視線が詰まっている。これを書くには、人の何倍もの心の度量が必要だ。なんて人だろう…。解説も、素晴らしかった。さらに本文を噛みしめることができた。クリスマスの意味を改めて考えた読書。
2016/12/24
nobby
この温かくも力強い物語を少年期の自分はちゃんと味わうことが出来ていたのかな…いや、それが平穏で幸せに暮らす現在に至るのだと信じたい♬寄宿学校で過ごす少年たち、時には暴れたり争い、強さを求め弱気をかばい、寂しさへの涙をこらえ、そして食べる(笑)五年生5人それぞれにスポットあてながら、その成長や葛藤を読む内に心はいつのまにか懐かしき教室へ飛んでいた。大丈夫!彼らには立派な大人 道理さんと禁煙さんがそばにいる!そして「大事なのは忘れないこと」!「も・ち・ろ・ん」願いはきっとかなうよ!だって「クリスマスだから」♬
2019/12/25
ケイ
好きな本を1日1冊、7日間SNSに投稿するバックカバーチャレンジに。さらにステイホーム中に読むのに大切な人にオススメした本だから、再読。今回は、敵方のリーダーの男気に最も心を打たれた。一番好きになったのは、真面目な顔でニコリともしないのに、口にする言葉が人を吹き出しそうにさせてしまう先生。1933年にドイツで書かれた作品。
2020/05/01
rico
あー、男の子っていいな。このわちゃわちゃした感じ。ギムナジウム5年生なら14・5歳。寄宿舎という閉じた空間の中での濃密な時間。クリスマス劇「飛ぶ教室」の稽古。泣いて、笑って、ぶつかり合って。どうしようもないことに悔しい想いをして。道理さんや禁煙さんといった大人たちの暖かい眼差しに見守られ、少年たちは伸びやかに大人への階段を上がっていく。物語は幸せな結末を迎えるが、作品が生まれたのは1933年。少年たちを待つのは悪夢の時代だ。ケストナーは何を託したのだろう。新しい年が幸多かれと、ただただ祈らずにいられない。
2019/12/24
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