ファイアスターター 上 (新潮文庫 キ 3-1)
ファイアスターター 上 (新潮文庫 キ 3-1) / 感想・レビュー
Tetchy
組織によって作り出された超能力者が組織の魔の手から逃げ出し、逃亡の日々を続け、時に超能力を発動して抵抗する。そして組織は新たな刺客を送り込む。これは古今東西のヒーロー物に通ずる題材だ。キングは子供の読み物である題材に逃亡者の苦難と生活感を投入し、大人の小説へと昇華する。人工的に作られた超能力者アンディとヴィッキーの2人が結ばれて念力放火の能力を持つチャーリーを生んだときのエピソードがまた壮絶。命の危険と隣り合わせの子育てという生活に密着したエピソードが単なる超能力者の物語という絵空事をリアルに感じさせる。
2017/11/05
散文の詞
父親と少女の逃走からはじまります。 二人共特殊な能力をもっていて、そのために政府の機関「店」から追いかけられています。 「店」が何なのか、どうして追いかけられているのか。 それが、解ってくると面白さがじわじわと伝わってきます。 「店」に追いつかれたときとそれを切り抜けた時の驚愕の状況。 その後もつづく逃走劇。 下巻に続きますが、脇役も面白い人物ばかりです。 その人物だけでも、一冊書けるのでは?と思うくらいです。
2020/03/10
chiru
上巻。 回顧録と現在を交互に差し込む構成。 薬物投与の実験に参加した男女が結婚し、産まれた子供がチャーリー。 彼女の持って産まれた『力』に怯え戸惑いながらの育児。 『力』と『薬物投与実験』の関係。 夫妻と娘を監視下に置くだけでなく、執拗に追いかけ回し横暴な追跡劇を繰り広げる政府機関の工作員VS全身全霊で娘を守る父親との対立がメインの前半。 盛り上がり少なく、工作員たちの描写がやや冗長に感じられ、興を削ぐ感じがして残念。 ★3
2019/01/28
白のヒメ
国の人体実験で、超能力を身に着けてしまった男女。その間に子供が生まれるが、その子供は生まれつき念力放火の能力を持っていた。母親を殺されながらも、国の機関の手から逃げる父娘。生き残りをかけて逃亡する。昔、ドリューバリモア主演で映画化されたもの。炎を操る超能力のシーンも迫力があるけれど、父と娘の親子愛に涙が出る。キングの作品の中で二番目に好き。・・・・何度目かの再読にも関わらず、今回も切ない父娘の逃亡劇に涙腺緩みっぱなしだった。本当にこの作品は大好きだ。
2015/02/03
タツ フカガワ
リチャード・バックマン名義も含めキング本を最初に読んだのが本書だった。ある試験薬の被験者となった男女が後に結婚。が、生まれた娘チャーリーは念力放火能力を持っていたため、やがて政府機関から追われることに。ほぼ30年ぶりの再読ですが、物語世界へ一気に引き込む力は今読んでも凄いですね。上巻は父娘の悲壮というか悲愴な逃避行。その二人が囚われたところで下巻へ。
2020/09/19
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